2部 クウト修行編
クウト、修行開始
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あらすじ:前日、アズラックから戦況の説明を受けた。
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――クレスの告白があってから翌日。
こうして俺たちは、イーストウッド国に入国を前にして、前線基地としたこの小屋で滞在することになった。
主な理由は俺だった。
今はクレスとエリナにスキルを習っている。今後絶対に必要とか。
この世界のスキルとは、魔力を操作して具現化することらしい。クレスは魔力が豊富にあると言うことで魔法のスキルをいくつかもっている。
かといって、クレスは魔法しか出来ないかというとそうではなかった。まだ王子だった頃に剣技も学んでおり、剣技も使えるという。
――本人曰く、実戦向きではないと言うが、俺みたいな素人に対しては十分過ぎた。模擬戦でお互いに木刀を構え、打ち込むが、クレスはスキルをいくつも使っていた。
クレスに打ち込むが、クレスの木刀に魔力がこもり、「【ディフレクト】」と叫んだときは、俺はこのまま吹き飛ばされたのだ。そして木に激突する。
意識こそあったが、その一打でボロボロだった。
すぐさまクレスは近づき、回復スキルを使ってくれる。
「【リカバリー】」
打ち身や傷が癒え、正気に戻るのだ。
「このように、魔導士の僕でもこの位出来るので、クウトさんもやってみて下さい」
こう言うのだった。
いやいや、魔導士って過少過ぎないか? 4属性使えて尚且つ光と聖属性や回復魔法まで使えるとか、魔法のエキスパートじゃないか。…………しかもだ、剣術まで使えるとかもうエースじゃないか! そんなクレスが戦力にこだわるほど、この世界の人は、人間やめてるレベルだと、俺は常々思うのだった。
またこの場所は、けして安全と呼べる場所では無かった。こちらの方角の対角線上には町が無く、向かう先は障魔の森と呼ばれ、時折モンスターが氾濫する危険地帯だった。
――それ故に王国からの追跡者はあるはずも無く、気楽ではあったが、モンスターの襲撃は時折ある。
先日も修行中に障魔の森からレッドグリズリーが出たときは大変だった。
俺はなんとか応戦するが、レッドグリズリーの振り上げた爪を剣で受け止めるのが精一杯だった。
その勢いを殺しきれずに、またいつもの木に吹き飛ばされたのだ。やばい、と思ったが、気配を察知したエリナが駆けつけてくれたおかげで、エリナはレッドグリズリーに一人で挑むようだ。
エリナのスキルがここで判明する。
彼女は、【ダンススキル】というのを持っていた。
水のダンススキル【
エリナが持っていたのは、短剣だったが、短剣にも水の膜で覆われていて、長さは短剣では無くなってたのだ。大体ロングソード位になっていた。
短剣しか持ってないのに、ウェストウッド最大戦力と言われてる。エリナが、どうりであまり重い武器を持っていないわけだ。さらに言えばエリナが持ってる短剣も、魔法の力が付与してあり、水の効果をアップしてくれるものだ。
その後はレッドグリズリーによって吹き飛ばれて木に激突して、ふらふらの俺のそばに来てスキルを使ってくれる。
「【アクアヒール】」
クレスのと違い、慢性化した状態まで回復しなかったとは言え、レッドグリズリーから受けた傷は、すべて塞がった。
――しかし、障魔の森さら出てきたのは、レッドグリズリー一匹だけじゃ無かった。数十匹の魔獣の群れがせまってきた。
「クウト! お願い、数秒間魔獣を惹きつけて!」
そう言われたので、こちらも練習中のスキルの使用準備に入る。
(魔獣よ、こっちに来い!)
俺は、そう念じると、自身に魔力を纏わせる。纏ったの確認後、スキルを発動させる。
「【ヘイトリアクション!】」
そして俺は、すぐに、右に向かって走り出した。
よし、全部こっちに来てるな。
エリナの方を確認すると、いつの間にか弓を手にしていた。
「【クリエイトアクアアロー】」
エリナがそう唱えると、エリナの足下に水色の大量の矢が出現する。
大量の矢を鷲づかみすると、上に放り投げた。その動作を何度か繰り返し、弓を構える。すると、放り投げた矢は空中でとまり、矢先は魔獣に向いていた。
今の俺はエリナを中心に、学校のグランドで魔獣の先頭で走らされている状態のような状況だ。むしろ追っかけられているのだが。
エリナはスキル使用態勢に入った。
「【アローストーム】」
弓の弦を引き離すと、空中で浮いていた何十本の水色の矢は一斉に魔獣に向かって飛んでいった。水色の矢は魔獣の体を貫通して後続の魔獣を貫いていく。
数秒も立たないうちに、あれだけの魔獣の群れを一瞬で死体の山へ変えた。
「クウト、大丈夫?」
「ああ、エリナありがとう」
うん、これは強いな。さすが勇者と呼ばれるだけはある。
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―――その日の夜
アズラックとクレスは翌日早朝から物資の補充と情報収集のため出かけるので、数日間空けるらしい。
「念のため結界を張っておきますので、クウトさんは休まれる時は必ずそちらにいてください」
「あんちゃん修行頑張れよ」
「そっちも道中記を付けて」
俺はそう言うと、二人は部屋へ戻っていった。
―――翌日、起きたら二人の姿は無かった。
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