三国の戦力差




//////////////////////////////////////////////////////////////////////


 あらすじ:クレスの話を聞いて


/////////////////////////////////////////////////////////////////////



 ――戦力が足りない。



 そうクレスは言うのだが、具体的にどのぐらい足りないのか?

このあたりも聞かないといけない。


 そう思っていた矢先に、今まで傍観していたアズラックが語りだすのだった。


 「俺は独自に情報を集めていたんだが、これを教えておくぜ」

アズラックはそう言うと、大陸の地図を広げた。


 「グランドフォート王国は、この中央大陸で最大級の戦力を保有してる状態だ。普通に戦っても勝ち目がねぇぜ」

アズラックが更に続ける。


 「イーストウッド国は、現在は既にグランドフォート王国の支配下にある国ではあるが、地下組織レジスタンスを発足した。更にイーストウッド辺境伯とも連携を取り、ノーザンテースト帝国と秘密裏で連絡取り合っている。その上で話すぜ」

 なるほど、レジスタンス組織を作って奪還作戦をしようとしてるのか。


 「現在イーストウッド国のレジスタンスは500人前後。その中で、神器持ちはエリナひとり。来たるべき時までに王国に従っているフリをしている、イーストウッド国の辺境伯領主軍2000人その中で、神器持ちは数人程度だ」


 戦力に神器持ちをカウントするのか。それだけ神器持ちがいるかいないかで戦力に差が出るという事か。このアクセサリーにそんな力があるのか?


 「対して、グランドフォート王国は、イーストウッド国に代官として滞在中の王国軍は約5000人、神器持ちは2人程度。うまく立ち回って行けば、イーストウッド国は取り戻せるかもしれない」

アズラックは水を飲み、一息つく。


 「…………しかしだ、王国軍はノーザン地方と戦争中なので戦力のほとんどはノーザン地方へ滞在しているが、いつこっちに矛先が向かないとは限らない」


 準備不足のまま強行して、取り返したはいいが、戦力が整っていなければまた取り返されるもんな。しかも次が無い状態で。これは慎重になるわな。



 「肝心のグランドフォート王国軍の戦力だが、100万人、神器持ち50人以上と、まるで桁が違う。傭兵部隊なども参戦しており、資源は豊富だ」

 なるほどな。故に、奪還出来ずにいたようだ。



 そんな相手がこちらに向いたら大変である。例え奪還しても二度目はないのだ。故に慎重に事を運んでいた。



 ――しかし、そんな相手と戦争中のノーザン地方は幾つかというと、ノーザン戦力は10万人と、グランドフォート王国軍の1割にも満たない。


 だが、戦争が始まって数年になるという。


この戦争が始まる更に数年前に内戦で統一したばかりだという。そんな状態でグランドフォート王国軍と相対して年単位で守っているという。




 ――何故、守り切れているか?


 要因2つ。


 まず一つは、グランドフォート王国が戦争をするまえに内戦があり、今こそ統一されているものの、実戦経験が豊富であり、地形が優れていること。


 二つ目は、神器持ちの存在である。


 ノーザン軍の神器持ちは約100人以上。更に言えば、神器持ちのほぼ全員が内戦中に活躍したエース級であること。


 対してグランドフォート王国の神器持ちは、強さは本物だが、現段階においては、実戦経験がほぼ無いに等しい。



 これにより戦力差があっても、守り抜く事が出来た要因だった。

こうして取れる作戦は神器の保有者を増やすことだった。


 そして、アズラックは神妙な面持ちで話し始める。


 「あとな、あんちゃん、さっきは口に出さなかったが、この世界は危険が一杯だ。そんな状態で神器の恩恵が無くなったあんちゃんを、一人を放り出すほど、俺たちは人でなしじゃねぇよ」

ああ、さっきの事か。この世界は神器の有無でそんなに変わるのか?


 「ああ、アズラック、いつもすまないな」

これでも俺の為に動いてくれてるのだからお礼を言っておこう。


 「いいってことよ! それよりあんちゃんがエリナ並みに強くなれるなら戦力強化間違いなしだしな! あとな、エリナへの罪滅ぼしも兼ねてるからな」

アズラックはそう言うと、ニコッって笑うのだった。


「……………」

エリナは悲しそうにこちらを見る。


 やはりエリナの過去には何かあるのだろうか。…………よく考えれば俺のように知人友人と転移してきてもおかしくない。それなのにだ、エリナは今ひとりだ。


どこに居るかなんて野暮なことは聞く気になれないが、――いつか話してくれるだろう。


 「そうだよ、くうとくん!あたしが付いてるから安心してねっ!」

アリーシャは笑顔が時々怖い。なんか見透かされているようで。


 「ええ、クウトさん。僕たちが付いていますから安心してくださいね」

クレスは相変わらず頼りになる。



 そういえば最近スキルチェックしてないな。この機会に必要なスキルはとっておこう。神器が無くなったら、スキル振りもできなくなりそうだしな。



 ――そして俺は、明日から本格的に鍛えることになった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る