【幕間】由美(ゆみ)とコントロールルーム
――ここはとある場所にあるコントロールルーム。
クウトたちが王都を脱出する前に遡る。
このコントロールルームには、数人の人間や種族が居た。
リリーとミーアの2人は、エルフのような種族で、耳が若干長い。
この2人も数人の内の2人だった。
他にも獣人族の他にも人族がいる。ここにいる人にはそれぞれ目的がある。その為数人ここに滞在しているのだ。
ここに操作パネルをいじっているエルフ族がいる。
「だいぶ進んでいるね」
リリーは液晶に写る大画面を見ながら答える。
大画面には現在の人数と階層ごとに何人いるか表示されている。
「それでも進みは悪いほうだと思うなぁ」
ミーアは意見をする。
「ある程度の力がないとここまで到達できないからね、しょうがないよ」
リリーは答える。
「でも、あの制限はやっぱり必要だよね!それはそうと」
そして右にいる人物に向けて顔を見る。
「それよりあなたは、元の世界に戻れるのに、本当にこのまま――ここに居てもいいわけ?」
「ええ、問題ないわ」
そう答える女性がいる。
ここに一人の女性がいる。
その女性はとにかく別の画面で操作などをする担当だ。
【ユミ】と呼ばれる人間種族だった。
ユミは画面を見て気象などの状況を操作する担当だった。
――ユミについて少し語っていこうと思う。
彼女の名前は【
クウトやエリナたちと同じ地球から転移した人たちの一人だった。
数年前に彼女は転移してきたことになる。
彼女は――なぜ、この場所にいるか?
ユミは転移後、あるパーティに所属。
転移後、不思議な能力でチート能力に目覚め、無双したのち冒険者になった。
しかし、あるきっかけで数十人のパーティに所属。ある時にダンジョンに誘われたのがきっかけだった。
そして、数年後にこのダンジョンを攻略した上で、この場所に到達してここに滞在してるわけだ。
他にも転移者はいたが、既に自分たちの住居に戻ってたりする。
――そう、このダンジョンの攻略報酬はまさにチート能力だったり、莫大な財力だったり、欲望を満たすだけのアイテムだったり、能力を得ることだったりするのだ。
攻略完了と同時に、そういった数々の
――ただし、この道は決して簡単なものではなかった。
何せ攻略するまでに最低でも数年掛かったり、最悪の場合は命を落としたりするのだ。ユミが所属するパーティは見事にその困難を突破し、それらのものを得たうえで、元の居住地に戻っていたりする。
また、この階層には転移魔法陣も設置されているので、入ったダンジョンの入り口に戻ることが出来るのだ。
その入り口に戻った人たちはダンジョンで得た神器や能力を使って国を治めたりすることもできるだけの強大な力だった。
――なぜユミはここにいるのか?
かつて、ユミは日本のある所に住んでいた。
人並みの生活を送り、高校を卒業した後一般商社に就職した。
しかし、そこの上司からセクハラを受け、不快に思っていたが、ある時を境に激変する。反撃して上司を糾弾したのだ。しかし、これによって失脚すると思われた上司は無傷で復帰してしまったのだった。
こうして上司から嫌われた後、毎日朝早くから出社することを業務命令をだされ、終電間近まで仕事をしていた。休日出勤なども強要され、仕事をすることもあった。
しかし、休日出勤はもとより早朝出勤や残業による手当もなく、上司により意図的に報酬を支払われなかったこともあり同期の人よりも給料が低かった。
そんな中、嫌気をさし、退社を申し出るものの受理されず半年ほどその生活をつづけた時入院してしまい数日療養することになる。
しかしその後、退院後出社するものの、入院中は無断欠勤扱いになり、会社をクビになったという経歴を持つ。
若い頃の由美には、このことにより人生に絶望した。
こうした出来事があったため、一時期は生きる意味を失い、死に場所を探すために旅に出かけることになった。自殺の名所に単身で旅行に出かけたところ、向かいにある島のほうが断崖が凄そうなこと。そして無人島と聞いた為に人が来ないなら迷惑をかけにくいと思ったので、そちらに行くことになった。
転移させてくれた人は既に国元に帰ってるので、この場にはいないが、クウト達のようにこの世界に転移したのが始まりである。
こうした経験があるので、日本に帰れるこの状況になったこんな状況でも、帰りたいと思わなかった。
ユミはここに至るまで数十人のパーティで向かっていた。
彼女は聖属性と光属性に適性があり、上位の回復スキルを使うことが出来る。
その為パーティではかなり重宝される存在だった。
しかし、パーティメンバーもここに来る過程で何人も亡くなっており、さらに自分の殻の中に入るのを拍車をかけた。
ここにいる目的はもう一つあった。
――ある人物に会いたいので到来するのを待っていた。
会いたいなら会いに行けばいいのでは?と思うのが普通だが、いくら上位回復スキルの所持者でも、自分一人では、ここから出た後に生き残る自信はなかった。
こうして来訪するのを待っていた。
もし来なければここで骨を埋める覚悟はあった。
――――こうして他の人が国元に帰っていく中、コントロールルームの管理人になる事を決めたのだ。
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