天から授かる能力とその進化
魂に刻まれた天能が満たされた時、上位の天能に進化するか、全く異なる天能に変えるか、そのままか、選択できる。天能が変わる事、それを
あらゆる生命は、魂に「天能」が刻まれている。
神から賜った「天能」は、それを刻む魂に才能をもたらす。
故、天能により、それの在り方が決まると知的な物たちは考える。
都市から離れた田舎町。その近くに座する山で、一匹の狼は少年と出会う。
少年と戯れる日々は、狼に幸せを抱かせたが、その日々は唐突に終わった。
「都市に帰らなきゃ」と告げる少年を止める手立てはなく。狼は少年を見送った。
少年と別れてからの狼は、修行に明け暮れる日々を送り始めた。
何時か、魂に刻まれた天能が満たされ、進化する権利を得られる、その日まで、修行は続いた。
十年後、遂に、転天した狼は、完全では無かったが人になった。(耳や尻尾が狼的)
少年が暮らす人の都市で、彼女は少年と再会する。
料理人の天能を刻まれた少女は剣士に憧れる。
天能を極めたなら、上位の天能「上天能」に進化する権利を得る。
周囲から「料理人の上天能になる」と期待され、育った少女の夢を拒む大人たちに社会的立場の低い少女は逆らい難かった。
そんな少女の夢を肯定する少年から「君の気持ちを尊重しない大人たちの言う様に、上天能を目指して末、君が望む剣士の天能を得る事で、大人たちを見返せば良い」と提案された少女は、大人に逆らう愚かさを持つ少年の言葉を支えに、夢を叶えた。
上天能になれると期待された少女は、大人に反発し、努力を怠ろうとするも、大人たちから叱られ、嫌々と上天能を目指していたが故に、成長は鈍足だった。
それが、一変し、能動的な努力によって、少女は、数年で上天能になる権利を得た。
その少女は上天能を得ず、剣士の天能を得た。
上天能は、約束された名声であり、それを選ばぬ少女は、愚か者と愚弄された。
それでも、少年は、夢を叶えるため、天能を極めて、転天した少女を賞賛した。
剣士の天能を得た少女は、冒険する日々を送る少年と共に同様の日々を送り始めた。
正義の天能を持つ彼女は、自分が正義である限り、怪物を倒す力を得られる。
そんな彼女が毛嫌いし、敵視する少年は、愚者の天能を持っている。
愚者の天能は、ある社会で愚かな好意なら、その成功率が高まるという反社会的なもの。
故に、正義の道を行く彼女は、それと敵対しなければ、正義で在れない。
そんな彼女に、少年は言った。「属する社会を変えたなら、君の正義も変わる」と。
そんな少年は、属する社会に反抗的だ。
非常識な少年を人々は忌み嫌うが、少年はその反応を好み、反抗し続ける。
と言っても、少年の愚行は、大罪や悪党と言えるほど、大きくはない。
他人の思想に文句を言ったり、危険地帯に行ったり、黒と白の境界でお金を稼いだり、人目に付く範囲で法を侵さず、愚行に励む。
少年は、上天能の権利を得ながら、それを望まない。
賢者など、他人から崇められたいとは思えないから。
盗人の天能を持つ彼は、敵地で情報を盗んでいる。
その天能は犯罪を連想させるが、何を、何の為に盗むのか、どの社会に属するか、どの社会から見たら、など、条件次第で、正当性を有する。
天能とは、捉え方次第で、善悪が決まる。
社会が変われば善が悪に成り、その逆もあり得る。
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