竜とか空島とか




 竜の領域「天空」と魔の領域「大海」に挟まれた「地上」は人間が暮らせる数少ない領域。



 地上を基準に天界を「上界」大海を「下界」と呼ぶ事も。



 大小様々な浮かぶ大地を治める領主は、その領土の価値に比例した爵位を与えられています。

 小さな大地が密集する地域は一帯の島々を一つの領土と見なす「群島」という区分があります。

 私の父「竹中公爵」が治める領土は十個の島々で構成された群島です。




 合計した領土の広さでは他の公爵に劣りますが竜の生育環境に適している事から、その価値は代えがたい物です。

 ここで育った竜たちが人々を乗せ空を飛ぶ。それは私の誇りです。

 父の背中を見て育った私は、竜を育てる術を学びました。何時か、夢である最高の竜を育てる為に。




 貴族を招待した宴で王様から一人の少女が紹介されました。

 その子は私より二歳下の可愛らしい加奈と言う名の女の子でした。

 聞き覚えの無い苗字から貴族ではない加奈がなぜ国の長から紹介されたのか貴族たちはざわついていました。

 その答えは王様の口から出ます。

 「彼女こそ竜を導く「巫女」だ」と――。



 海と天の狭間。狭間にある大地と大地を隔てる空。その翼で空を飛び大地と大地を行き来する竜。

 人が空を支配した根源こそ、竜を支配した事に間違いない。

 船を運び人や物を運ぶ竜は生活に欠かせない存在。

 それを操る存在が居たなら、それは間違いなく、国家を支配できる。

 王様が紹介した巫女が本物なら、危惧すべき存在だ。

 国を支配者する独裁者になるか、国に益をなす偉人になるか。

 主催者である王様が特別な待遇で紹介した巫女をこれから貴族が取り込む事は難しい。



 巫女は宴で他者の竜へ命令する。命令に従った竜の姿に恐恐とする持ち主は不憫である。

 返されても、何時か再び竜を奪われる、その不安は巫女が死ぬまで消えそうもない。




 その場に居る誰もが理解しました。「巫女から敵視されたなら竜を失う」と。

 畏怖の念を抱いた貴族たちは様々な最高級を求める巫女の願いを叶えました。

 感謝の言葉。その代わりに「上出来」などと見下す態度を取られても、巫女に苦言を呈する者は公爵家の令嬢「菜実」だけです。

 王様も王子も伯爵も公爵も、みんな巫女のご機嫌を伺い我が儘に応えています。

 裏で恨み言を呟いた貴族は公衆の面前で謝罪させられる屈辱を味わいました。

 巫女の機嫌を誰もが伺います。

 この国は巫女の為に存在する。その様な表現が正しい事に人々は異常を感じながらも尽くす事を辞められません。

 それは竜で成り立つ今の生活を失いたい上位者など誰も居ないからです。

 現状、実害は王族や貴族など上流階級に限定されている事から巫女を敵視する庶民は居ませんが、行き過ぎた侮辱は加奈の異常性を知らしめました。




 竜に跨り空を飛ぶ騎士の飛行訓練を見ていた巫女――加奈かなは訓練を終えて飛行場に降り立った騎士へ言いました。

 「ねぇ、その竜わたしにちょーだい」

 苦楽を共にする相棒を「ちょうだい」の一言で要求された騎士から即答で断れない苦悩を感じ取った菜実なみは「それは彼の大切な相棒です。竜が欲しいなら商人から……」と割り込みました。

 加奈は譲らず「嫌! だってこの竜が一番早いんでしょ!」と言います。

 負けじと菜実も「それでも、です」と反論します。


 言い合う二人の間に入れぬ騎士は自分が答えないから口論をさせてしまっている状況を問題だと思いましたが、答える事は出来ません。

 巫女に反抗すべきではないと理解しながらも相棒を失いたいとは思えないからです。


 それでも騎士は言いました。「貸す――と言うのでは駄目でしょうか?」

 自分以外の者が相棒に乗る嫌悪感に耐えながら言った騎士に加奈は言います。「それじゃだめ」と。


 菜実の乱入で不機嫌に成った加奈は、感情に振り回され、妥協する事が出来ないほど苛立ちを露わにします。


 「貴女は巫女なのですよ。もう少し発言に責任を持ってください」


 菜実から説教された加奈は見下されたと思い「そうよ。私は巫女。だから全ての竜は私の物でしょ」と竜の所有権を不当に主張しました。

 「それは違います。少なくともこのは彼の相棒です。貴女の物ではありません」

 何を言おうと反論する菜実に何を言うべきか加奈は口を閉ざしながら少し考えました。


 そして加奈は思いつきました。菜実を苦しめる「だったら、代わりに貴女の竜をちょうだい!」という言葉を。

 当てつけの様な言葉に菜実は怒りを抱き「代わりって、他人ひとの竜を奪ってはいけません」と少し冷静さを失い心が高ぶっています。

 加奈は「あの竜が駄目なら代わりを用意すべきでしょう」と竜を貰う事が当然だと主張します。

 そんな態度に耐えかねた菜実は冷静さを失い「駄目です。ヒュイは私の相棒です!」と言ってしまいました。

 そんな菜実に加奈は「相棒? 貴女が?」と挑発しました。

 「そうです」と菜実は即答します。

 「なら、勝負しない?」

 「勝負――ですか?」

 「ええ、ヒュイ――だったかしら、が私と貴女、何方を選ぶか」

 「それは……」菜実は言葉を詰まらせます。

 巫女の加奈と菜実ではヒュイが何方を選ぶのか、答えは明確です。

 言葉が詰まった菜実に加奈は畳みかけます「自信が無いんですか?」と。

 菜実は怒りを内に抑えながら「冷静に」と心の中で自分へ言い聞かせながら「自信――ですか?」と聞き返しました。

 すると「ええ、その竜は貴女の相棒なのでしょう。それが事実なら、出会って間もない私より、貴女を選ぶんじゃありませんか?」と言い菜実とヒュイの絆を持ち出します。

 ヒュイを失わない為には謝罪して許しを請い勝負の撤回を懇願すべきですが、負けない確信を抱く加奈に、ヒュイとの絆を侮辱されたと思った菜実は、逃げられる程の冷静さを持っていませんでした。

 僅かな希望に過剰な期待を寄せた菜実は加奈と共に「ヒュイ」の名を呼びました。

 すると、ヒュイは菜実へ見向きもせず加奈の目前に額を差し出しました。「撫でて欲しい」と言わんばかりに。

 絶望した菜実は「貴女、本当に愛されていたの?」とヒュイの額を撫でながら侮辱する加奈に何も言い返せませんでした。

 「この子は私がもらってあげるね」そう言う加奈に何も反論しなかった菜実はヒュイを失いました。


 そして、その一件から加奈に反抗する菜実が何時かより大きな問題を起こすと危惧を抱いた王様が菜実を島流しにする決断を下しました。

 菜実は公爵家から除名されませんでしたが継承権を失いました。最も、家は菜実の兄が告ぐ予定だったので公爵家は存続できますが、その一件で公爵家の影響力は弱まりました。


 そして、菜実は体一つで無価値な島に移住させられました。

 公爵家の支援で生きる事は出来ますが、役立たずに成った菜実は、家族に迷惑をかけ続ける罪悪感に苦しみます。

 加奈が変わる――否、変えられると期待して苦言を呈した判断は間違いだった、と菜実は後悔しました。

 先の暗い国に仕える家族を心配する資格がないと自覚しながらも心配せずにはいられない菜実は、無価値な島で一人寂しい生活を送り始めました。



――





 無価値な島。平たい場所は少なく岩ばかりの歪な島に多く存在した鉱物資源も、採りつくされた今、残っているのは坑道と破棄された施設だけだ。

 竜を持たぬ菜実が島から脱する事は出来ず、なんとか使える旧時代の施設で前時代的な生活を送るしか生きる術はない。

 そんな生活に苦戦しながらも、「この生活は私の言動。その責任」と考えながら、過去を間違いと認めず、生きる事を止めない。




 一週間に三度の物資提供を除き、菜実が人と会う事はありません。

 そんな寂しさを紛らわせようと菜実は島を探索し始めました。

 古びた坑道を歩くのは落盤の危険があります。

 それでも、変化のない退屈な生活を送る菜実に、その緊張は重要な刺激と成りました。


 船を乗せた竜と共に物資を運んでくださる運送員に、探検している事を知られたら、お父様に伝わり止められる。そう思った菜実は、危険な遊びを隠す不良に成りました。

 加奈に苦言を呈する事を家族から止められていた時の菜実は自分の言動が正しいと思っていましたが、今回は自分の行いが不良だと自覚しています。

 今まで良い子であり続けた菜実が、自覚しながら悪い子に成ったのは初めてです。

 それは「公爵家の令嬢として相応しい振る舞いを」と律する必要がなくなったからかも知れません。

 開き直った菜実は、慣れない家事に苦労しながら、自堕落な生活を送っています。

 それを咎める人が居ない事に寂しさを感じながらも、今までにない解放感に心地よさを感じ始めたのは、菜実が家事に慣れ始めて、余裕が出来た頃でした。




 坑道の奥。そこには広大な空間が広がっていました。


 広間の中央。盛り上がった岩の上には巨大な竜が身体を丸め瞼を瞑り眠っています。


 一週間に二回ほど竜と触れられる生活は、菜実が満足する程度に至っていません。

 竜に飢えた菜実は、正体が分からない巨大な竜を恐れながらも廃坑に住み着く竜に興味が沸き、好奇心が勝った末、その存在を確かめる為に歩み寄りました。


 触れようとした時、それまで、静寂を貫いた竜が瞼を開き、菜実の瞳を睨みました。


 瞳の圧力に恐怖を抱いた菜実は怯えて身体が竦みます。

 それでも「死にたくない」と思わない菜実は、再び腕を伸ばしました。

 菜実の予想に反し、竜は菜実の手を拒まず、額を腕の行き先へ差し出します。


 差し出された額へ慎重に開いた手の平を優しく当てた菜実はゆっくりと撫で始めました。

 いつの間にか竜の瞳から圧を感じなくなった菜実は、瞼を閉じた穏やかなその姿に恐怖を抱かなくなっていました。




 大きな竜――シャビと出会ってから菜実は毎日のように坑道の最奥へ通っています。

 人の言葉で会話が出来る竜は上位種に区分されている希少で尊大な存在です。

 使役した下位種を用いて発展したこの国にも昔は上位種が居たそうです。

 その竜はこの国を建国した王様の友でしたが、次代の王はそれの友にならず、権威を示す道具として用いたそうです。

 友の居ない場所から去った竜は人前に現れる事はありませんでした。


 その逸話は竜との信頼関係を大切にする現在のこの国の常識を育んだお話です。

 『それも過去の物になりそうですね』と思った菜実は失った相棒に思いを馳せました。

 菜実の陰りを悟ったシャビは「何かあったのか?」と尋ねます。

 正直に話すべきか――と考えた菜実は『引きこもりの竜に話して何になるのでしょうか。空気を悪くするだけなのでは?』と思いながらも『その話を聞いて欲しい。理解して欲しい。共感して欲しい』とも思いました。

 菜実は『他者に気を使う必要が無いのですから、弱音を吐いても、愚痴を言っても、問題はないでしょう』との結論に至りました。

 菜実から、共に食べ、共に眠り、共に飛んだ相棒を失った出来事や、相棒との思い出を聞いたシャビは「それ(相棒)を責めないでやってくれ。巫女の甘美な声に勝てる理性を持つ竜は少ないのだ。それは今でも菜実を愛していると思うぞ」と不可抗力な力の影響だと励ました。

 「それにしても巫女が現れたとは……千年ぶりか……」そう呟いたシャビに「巫女を知っているんですか?」と聞いた菜実にシャビは応えます。

 「ああ、知っている。その巫女は拘束具を付けられ奴隷化された竜たちを解放しようと戦っていた。苦しみから逃れようと支配された竜たちの拘束を解き、その甘美な声で竜たちを手籠めにしていった。そして、竜と人が信頼の下、共存する社会を生み出す基礎を築いた女性だ」

 「今の世を作った巫女。その様な伝承を聞いた事はありましたが、それは事実だったんですか? と言うか、千年前ってシャビはそんなに長生きなんですか!?」

 「ああ、そうだが。驚く事か?」

 「ええ、私が出会った竜は長くても二百歳ですから。上位種は長生きだと聞いた事はありますが、上位種の居ないこの国では、本当なのかと疑う人は少なくありませんから」

 二人の会話は過去の出来事を起点に始まり「もしも」や「知る」「教える」など互いの理解を深める内容が殆どです。

 その中には多くの愚痴が含まれていましたが、それを互いに止めませんでした。

 それは両者が普通の社会に居ないから出来る事なのかもしれません。



 竜が好む食事。それを父から学んだ菜実は、その知識や技術を用いてシャビに料理を振る舞った。

 と言っても、料理の材料は自分に配給された食材から作っている関係で、多様とは言えない。

 それでも、美味しそうに食べるシャビから感謝された菜実は充実感を抱いた。

 シャビが空を飛び回っていた時より進化した料理は、シャビの下をうならせる程度の品質だった。

 もっと上を目指せば良い物はあるが、今を知らぬシャビには価値ある代物だ。






――


 巫女と呼ばれる少女――加奈は上流階級を嫌っている。

 それは竜を持てない庶民を侮辱し、軽んじ、時として人と扱わぬ時もある。


 現代、竜との関係は、幼い竜を育て、信頼関係を築き、使役する方法で有り、幼い竜を手に入れる機会が基本的に存在しない庶民は、竜を持つ事が出来ない。

 そんな環境で育った加奈は、竜を持っているからと持たぬ者を見下す者たちを嫌悪している。

 竜を魅了する声色に気付いたのは、加奈が13歳の頃だ。

 何気なく他人の竜に呼び掛けた時、その竜が応えてくれた。

 それが始まり。

 それから、加奈は王様に呼ばれ、特別な待遇を受けた。

 自分を王様に紹介した貴族が自分の声を政治に利用したいって言う意図は分かっていた加奈は、自分を支配してきた人々を逆に支配する為に、その貴族に利用される事にした。


 その貴族に守られながら加奈は、貴族たちを支配する優越感に浸った。


 一人、反抗的な貴族の令嬢は邪魔だったけど、それも加奈に媚びる貴族たちが何とかした事で、加奈は自分勝手な言動を強めた。


 その反面。庶民に優しい加奈は貴族から得た富で買い物を行っている。

 故に加奈を商売相手として好意的に扱う庶民は多い。

 最も、我が儘だと言う理由で嫌う庶民も居るが、現金な庶民の多くは加奈を歓迎している。



――




 島に軟禁されている菜実が最初より元気な様子に疑問を抱いた監視者は、配達の荷物に紛れて菜実に悟られず島に入り、調査を行った。

 坑道に入る菜実を追い、巨大な竜と密会している事に気付いた監視者は、次の配給日にやって来た配達人と共に島を出て、王様に報告を行った。


 竜と菜実が密会している状況を知った王様は、島流しの恨みを持った菜実が竜の力を借りて反抗する危惧を抱き、菜実を島から連れ出すよう監視者へ命じた。


 それが実行された時、竜との交流を失いたくなかった菜実は竜の存在を認めなかったが、武器をチラつかせ強引な態度で連行を試みる兵隊たちを恐れた。

 そんな時、巨大な竜が現れ、威嚇した。

 威嚇されて怯んだ兵隊たちから菜実を奪った竜は更に威嚇して、兵隊たちを追い払った。

 ここ(縄張り)に来るな、と言わんばかりに。


 強引な手段を菜実に謝った竜へ、菜実は感謝の言葉を口にした。

 菜実は幸せな今を失いたくなかったから。


 でも、問題が発生した。

 それは、物資の配達が止められてしまった事。

 住処へ菜実を案内した竜は、そこで食べられる物を教え、生き延びる術を菜実に与えた。


 なかなか降参しない菜実にしびれを切らした加奈は「竜なら私の声でモノに出来る」と豪語し、菜実の相棒だった竜に跨り、護衛の騎士たちと共に菜実が暮らす島へ向かった。


 巨大な竜が加奈たちを追い払おうと飛び立つ前、「菜実は戦うのはやめて」と懇願した。

 菜実は、過去に竜を失った。それを再び経験したくなかった。

 でも、竜は「我を見くびるな」と言い、飛び立った。

 不安な菜実を残して。


 巨大な竜と空で対峙した加奈はそれを誘惑した。

 並みの竜なら、それで堕ちるが、それは堕ちなかった。

 驚く加奈や護衛達へ威嚇し、追い払ったそれは菜実の下へ帰った。

 それが堕ちなかったのは、並みの竜より発達した頭脳による圧倒的な理性が、甘美な声に勝ったから。

 それは並みの竜が負ける事を情けないと思いながらも、不可抗力だと考え、所詮は下位種よ、と並みの竜たちを見下している。


 それは下位種たちが人間に依存する事を快く思っていない。

 故に人間に依存し、支配される竜を下に見て、自立した自身を自画自賛している。(プライドが高い)


――



 加奈の後ろが手になった貴族は他国を侵略し、土地と資源を奪おうと目論んでいる。

 空に浮く大地は限度があり、食料を得る為の農地を増やすには湧き水や農作に適した平原など、全ての島で叶うとは限らない。

 故に農地を増やす為には他所の大地を奪うことが手っ取り早い解決方法だ。

 鉱物などの資源は希少であり、金属を使った製品は高級品で有り、高値で取引されている。

 石製の建築物は貴族に限られ、庶民の家は再生可能な木材が殆ど。

 限られた大地から採れる限られた鉱石や石材。それらを得るには他所から手に入れる他ない。

 他国が希少な資源を貿易で容易に渡す事は無い。故に侵略して奪う方法が手っ取り早い。

 この国の王様も侵略の有意性を理解しているが、戦争によって竜や人、物資などが大海に落ちて失われる事を恐れている事から、戦争を避ける方針だったが、巫女の声で敵勢力の竜を奪えれば戦わずして勝てる事から巫女を用いた侵略に期待している。

 故に王様は巫女を排除せず受け入れている。その危険性を理解しながらも豊かな国造りの為に。



――


 加奈は貴族の後ろ盾を得た頃、上流階級の人々を振り回す事で優越感を得ていただけで、大義などは無かったが、反政府的な人物から助言され、貴族が竜を独占する状況を終わらせ、庶民も竜を当たり前に持つ事が出来る環境を作ろうと考え始めた。

 そして、国に反抗した加奈はその声で多くの竜を従え、上流階級の人々から竜を奪った。

 竜を失った上位者たちは、加奈に逆らう力を失い、王を含めた上位者は下位者に転落した。

 国を乗っ取った加奈は庶民と貴族の垣根を無くす国造りを目指す。


 竜を失った元上位者たちは、何とか権威を取り戻そうと加奈の排除を試みる。

 加奈の後ろ盾だった貴族は、庶民だった加奈に教養は無いと考え、御しやすいと考えて、支援していたが、想定外の助言者によって、成り立たなくなった。

 助言者が現れるまでは、その貴族が態度がでかい事も含めて加奈を制御できていたが、大義を抱き始めてから、加奈は貴族から隠れて準備した革命に気付けず、万が一に備えて監視させていた護衛は革命の時に排除され、暗殺すら出来ない状況になった。

 富を得ようと巫女を利用した貴族は、その富を失った。


――


 巨大な竜を信仰する宗教を国教とした国は、巫女を得た国の侵略を受けた。

 巫女の声で巨大な竜以外を支配されたその国は、巨大な竜を除いたほぼすべての竜を失い、その領土も大半を失った。

 武力による衝突を回避する為に巫女を得た国は巨大な竜と残った少ない領地は奪わず、和平を持ち掛けた。

 全てを失わない為に、巨大な竜の国が和平に応じた事で戦いは死傷者の居ないまま終わった。

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