《SF?》VRオンラインゲーム

 最近はヴァーチャルリアリティーを活用したゲームが増えている。臨場感満点で観光したり冒険したりと本物さながらの体験が家庭で出来る時代になってきている。


 小説やアニメの中には一度ゲームにログインしたら死ぬまで出られないとか、ゲーム内で死亡したらプレイヤー本人も死んでしまう。なんて物騒なものもあるみたいだが、現実にはそこまで恐ろしいシステムは存在しないし、恐らくは研究すらされていないだろう。


 そんなこんなで俺も遅ればせながらVRゲームをやりたくなって、ヘッドセットやグローブ等の機材一式を揃えてみた。


 買ってきたゲームは「コールオブフィールド」という多人数対戦型の銃撃戦アクションだ。ヘルメットやグローブを通して銃撃の反動や、被弾した際の衝撃も再現してプレイヤーに伝えてくれるらしい。

 もちろんゲーム中にキャラクターが射殺されても、俺自身はちょっとした衝撃を受けるだけで、当然ながら実際に死んだり怪我をする事は無い。


 期待を胸にゲームを起動させる。様々な長ったらしい規約に俺はろくに読む事もせずに『同意』しまくって先に進める。こちらとしては早くゲームをやらせて欲しいのだ。


 次に装備品と戦場となるマップを選択してゲームが開始されるのを待つ。

 どうせ始めたばかりで所持品など無いし、マップもどこが良いとか悪いとかも全く分からないので適当に選んだ。


 待つうちに他のプレイヤーが集まってきて、ランダムに両軍に振り分けられる戦闘が始まった。


 スタート地点、俺の眼前には友軍兵士のプレイヤー達、ざっと10名ほどがいた。開始の合図とともに一斉に走り出して思い思いの目標へと散っていく。


 俺も何か強そうな装備を抱えたベテランぽいキャラクターの後ろを走る。

 ヘッドセットのバイザーの内側から自然の風を思わせる様な風が吹いて俺の額に吹き付ける。

 手にしたライフル銃の重みを感じるかの様に装着したグローブに負荷がかかる。


 没入度としては映画の4DXに毛が生えた程度の物だが、このレベルのVRが自宅で出来るのだから、最近の技術の進歩は驚くばかりだ。


 突然俺の頭に電撃が走った。調子に乗って走り回っていたせいで敵軍の狙撃手スナイパーに射殺されてしまったらしい。


 この電撃が『死』の合図なのだろう。本当に目の前が真っ白になって何も考えられなくなった。


 実際に殺された経験が無いので、この衝撃のリアル具合は分からないが、もう少し強かったらリアルで後遺症の出るレベルのダメージだろう。


 頭が衝撃から復帰するのと同時に、俺の分身たるキャラクターも再生ポイントから復活したらしい。

 さぁ、気を取り直して次の戦いへ… と思った矢先に俺は再び頭を撃ち抜かれた。再度の電撃が俺を襲う。


 これはきっと先刻のとは別の奴が、こちらの再生ポイントを狙撃出来る所を陣取っていて、再生即殺害されているパターンなのだろう。


 何度も意識が遠くなる程の電撃を浴びせられながら、ゲームの電源を切る事すら能わずに俺はその場に立ち尽くしたまま、永遠に殺され続けていた……。

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