《現代ドラマ》潔癖症
俺は昔から潔癖症だった。床や地べたに落ちたものなど触りたくもなかったし、もし触らなければならない状況になったら、その後は必ず念入りに手を洗ってきた。
風呂も最低毎日朝晩の2回は入って体を清潔に保つ。皮膚の常在菌ですら体に付いているのが不愉快に感じる時がある。
仕事が営業なので、外気に触れ続けなければならないのが辛い所だが、俺は昨今のコロナ禍でもマイ消毒薬を常備し、外で何かを触るたびに消毒をしている。
外で用を足す時も洋式の便器は絶対に使わない。誰が使ったかも分からない不潔な場所に腰を下ろしたくなんて無いからだ。
そんな生活を子供の頃から何十年も続けている為か、常に健康で風邪やインフルエンザ等の流行性疾患には
みんながみんな俺の様に清潔に気を遣って生きていけば、コロナ禍なんてすぐに治まると思うのだが、そうはならない辺り、世の中には馬鹿な奴が多すぎるという事なのだろう。
考え事をしながら歩いていたせいか、道行く女子高生と思しき女の子と肩がぶつかってしまった。
顔を浅黒く日焼けさせた、いかにも遊んでます風な今時の子達だ。女子のくせにヨレヨレの制服を着て緊張感の無さそうな顔をしている。
「失礼」
俺は軽く詫びを入れてその場を去る。子供相手に喧嘩するほど俺も子供では無い。
やれやれ、それにしても近頃の娘は小汚い子が増えたな。毎日風呂に入っているのだろうか…?
俺は手にした消毒薬を女子高生とぶつかった肩に噴霧した。
「ねぇ、今ちょっと臭いハゲデブ親父とぶつかったんだけど?」
「ウッソまじで? 受ける。ばっちい、えーんがちょ!」
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