ひもとアイドル

@ii8ii

ひもあい

「私を捨てるの?」

大声で叫んでいるのは俺のご主人様だ。


「違う!俺も何かしたいんだ!」

俺のご主人様はとても有名なアイドルで性格もいい完璧な人だ。

俺はそんな人の紐をしている。だから、俺は少しでも役に立ちたい。


「じゃ、そんな事言わないで!」


「何でそんなに束縛するんだよ!」

いつも子供扱いな事に腹を立てて怒鳴り返してしまった。

そして俺はそのままご主人様の家をでて行った。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「でここに来たの?」

今俺の前にいる美少女は俺の友人である。

一応アイドルの家に紐をしている事を黙りつつ今の状況を説明した。

秘密にする理由は人気アイドル天上彩花の家に男がいるとなれば今の彼女の地位が危うくなってしまうからだ。

彼女には凄く感謝しているそんな相手を窮地に立たせることは出来ないし、何よりしたくない。


「聞いてる?」

有栖に隠し事をする罪悪感から一言目の返事が出来なかった。


「ごめん 聞いてるよ、そう言う事だ。」


「友達の家に泊めて貰ってたけど、喧嘩して出てきたから泊めて欲しいってのは分かったわ。でもその後はどうするの?」


「今は、詳しくは決めて居ないけど働こうと思う。」

働こうと思う。これが原因で家を飛び出す事になってしまった。

忌まわしい言葉だ、何でも子供扱いは嫌だった何か役に手伝いたかった。

だから自立を選び紐生活に終止符を打とをとした結果がこれだ。


「私が養ってあげようか?」

ふと、彼女の口にした言葉に驚いて言葉を失ってしまった。


「… でも俺は」

彼女...山根有栖とは後ろめたい事情がある。正直ここに来るかも迷っていた。


「何?私を捨てた事を気にしてる?」

そう言い方がとてもとても悪いが、そう言う事だ。

大学で彼女を振って以来話していない。そんな彼女からの養ってあげようかと言う言葉は衝撃的だった。


「まぁ、少しな」


「私今そこそこ稼いでいるから、あんたの1人2人くらい養ってやれるわよ?それに、気にしてないわよ!」

気にしてないと言われても添乗との事もあるのでそれは出来ない。


「いや、働き先が見つかるまで泊めて欲しいだけだ。」


「そう...」

彼女があまり見せない悲し顔をしていたような気がした。


「そこそこ稼いでるって言ってたが、今はなにをしているんだ?」

何でもすぐに飽きてしまう、有栖が出来る仕事何んてあるのか?


「知りたい?」

凄くもったいぶるようにニコニコしている。そんなに凄い職業なのだろうか?

凄く気になってきた。


「凄く気になりるな。」


「それはねぇー...」

「ピーンポーン」

有栖がちょうど言いかけた時に玄関のチャイムが鳴って話が遮れてしまった。

「ごめん、少しまってね。」

それにしても、こんな時間に俺以外に人の家に来る人がいるのか?


「ご飯にしましょ!」

出前だったか、俺が来た頃から頼んでくれてたらしい、ちょうどお腹も空いていたしとても助かる。

話が途中で終わってしまったが、明日聞けば言いか。


「結構遅いのに、出前なんて来てくれるんだな、それに俺が泊まるの知ってたような、出前だな何でもおみとうしか?」


「あんたの事なら何でも分かるんだから!」

そして昔の事などを話して時間を潰していると、眠くなってきた。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「ここしか寝床ないわよ?」

敷布団も定番のソファーもないのか...


「まぁ、公園のベンチで寝る覚悟だったし床でいいよ。」

ここに来るギリギリまでは公園で寝ようか考えていたくらいだし、床で寝れるだけまだマシなのだ。


「それは許さないから!一緒に寝ましょ。」

そして有栖の説得に負けてシングルベットに一緒に寝る事になったが緊張で眠れず、結局俺が寝つけたのは6時を超えてからだった。


目を覚まし、リビングの方に向かうと(仕事に行ってきます!夜には帰るので夕食の心配しないでね!)と書いてあるメモとお昼ご飯らしきものが置いてあった。

「あいつの手作りか?」

温め直して食べる事にした。簡単な煮物とお味噌汁とお米だがとても美味しかった。

大学の時は料理なんて出来なかったのによく、ここまで成長したなと、何故か誇らしげな自分がいた。


そして俺は仕事がないか色々と探すことにしたが、見つからない俺はそこそこ頭がいい大学でも成績はトップの方だ、そして今そのプライドが自立の邪魔をしているのである。

そしてただタウンワークを眺めていると日がくれていた。


「もう帰って来る頃か?」

とまさに思った瞬間、ガチャと扉の開く音がした。


「おかえりー、今日はね凄い人を連れて来たんだけど知ってるかなー?私たちと同じ大学で今凄い人気のアイドルの“添乗彩花さん”だよ」

その名前は凄く耳に残っている名前だった。

とっさに隠れようとしたがもう遅かった。


「南くん!?」

これはやばい、恩人の家をでて行って他のしかも女の人の家で会うなんて…、だんだん頭がクラクラしてしまい、体に力が入らなくってしまった。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

今日で目を覚ますのも2回目か、

「あなたの家から出ていったんでしょ?」


「あなたも昔捨てられたんでしょ?」


「でも今は私の家にいますー!しかも昨日なんて同じベットで一緒寝たもんねー」


「ねぇ、ほんとなの?南くんほんとなの?」


今日で目を覚ますのが3回目になりそうだ。

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