第17話 告白……?
テストが終わって数日、ようやく全ての解答用紙が返却された。
いつも通り、しっかりと勉強したことと、数人に教えたりしたことが功を為したのか、いつものテストよりも解きやすく感じていたので、自信はあったが、結果が返ってきて一安心していた。
そして、授業も全て終わっていて、部活に行こうとした時だった。
「修哉! テストの結果どうだった!?」
そう言って修哉の教室に入ってきたのは美華だった。
修哉と美華はこれまで、双子で距離も近く、またともに成績が良かったことから、テストの後はいつも結果を見せ合って勝負するのが習慣になっていたのだった。
……数日待てば順位なども発表されるため、別に急がなくてもいいのだが、早く結果が知りたいと思ってしまうのは仕方のないことであろう。
そして、二人は返ってきたっ全てのテストを机の上に出してそれぞれ点数を比べ始めた。
……結果は、いつも通り理数系の科目は修哉が勝っていたが、文系科目で美華が大きく上回っていたため、総合でも修哉は美華に負けたのだった。
「ん~、やっぱり理数系は修哉に勝てなかったかぁ、今回は結構自信あったんだけどな」
「そうはいっても、理科も数学も高得点じゃんか。それに数学Ⅰなんて2点しか変わらないし」
「そうは言っても、今回は自信あったから悔しいんだって!」
「そんなこと言ったら、ほとんど負けてるし、得意の数学でほとんど差が出なかったことに凄く焦ってるんだけど?」
「それはそれ、これはこれ」
修哉と美華がそう話していると、意外と時間が経っていたのか、修哉のスマホが震えていた。
気付いて確認すると、駆からチャットも着信もあったようで、かなりの通知数になっていた。
そこで時間に気付いて、もう部活の始まる時間だと焦り始めた。
「やっば、部活忘れてた!? 美華、先に行くわ!」
「え? ちょ、修哉!? 今日は……って行っちゃった……」
焦ったまま急いで準備をして教室を飛び出た修哉に美華が何か話しかけていたが、既に教室から出ていた修哉には聞こえず、そのまま下駄箱まで走っていってしまった。
教室を出た修哉は下駄箱へと向かって急いでいた。
そして、廊下の端にたどり着いて曲がろうとしたところで、同じく曲がろうとしてきた人物とぶつかってしまった。
「いてっ!? って修哉? 何をそんなに急いでんだ?」
「うわ、すまん。てか、駆? 駆こそこんなところで何してんの? もう部活始まる時間じゃないのか?」
「あれ? 今日のホームルームで担任が話してなかったの? 今日は職員会議あるから、全部活は休みだとよ。それで、今からちょっと遊びに行かないか誘おうとしてたのに反応ないから教室に向かってたんだよ」
「え? ……あぁ、そう言えば……職員会議が、とか話してはいたけど、生徒には関係ないかな、と思ってちゃんと聞いてなかったわ」
「先生の話はちゃんと聞かなきゃだろ? それで、今からカラオケ行こうぜ! 勉強教えてもらった礼も改めてしたいしさ!」
「まあ、いいけど、気にしなくていいのに。前払いで飯奢ってもらってるんだし」
「まあまあ! どうせ口実で遊びたいだけなんだし、行こうぜ! どうせ暇だろ?」
「まあ、部活ないなら暇だけど……そうだな、折角だし行くか」
と、いう事で駆と聡と駅前のカラオケに行くことにした。
そしてカラオケで散々歌った後の晩飯で、三人はハンバーガーチェーン店へと来ていた。
「ほんとにここで良かったのか? もっと高いもの食いにいくのかと思ってたんだけど」
「別にどこでもいいじゃん? それにハンバーガーは普通に好きだから食べたかったし」
「まあ、それならいっか、俺も好きだし」
「あ、俺はハンバーガーよりポテトの方が好きだなあ」
そんな下らない話をしながらハンバーガーを食べていた。
「それで、修哉に伝えたいことがあるんだけどさ……」
すると、駆がやけに神妙な顔をして修哉に話かけてきた。
なんだか珍しく真剣な顔をしていたので妙に居心地というか座りが悪く感じて、
「そんな真剣な顔をしてどうした? 愛の告白か?」
少し修哉はふざけたことを口にしてしまった。
すると、駆は何故か顔を赤くして慌て始めた。
「え、ちょっと待って!? 何で知って、っていうかなんで分かったの!? 誰にもまだ言ってないはずなんだけど!」
「……え゛? マジ? ちょっと、ごめん、駆のこといい友達だとは思うけど、別に恋愛対象は女子だから……」
少し身の危険を感じながらそう返答すると、駆がさらに慌てだした。
「いやっ!? ちょっと待って違う! 愛の告白は間違ってないけど、お前じゃない、修哉にじゃないからぁ!」
……それからしばらく、慌てて変なことを言い始めた駆と、勘違いした修哉、そして、変な風に混ぜ返す聡の三人はギャーギャーと騒いだのだった。
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