第12話 勉強会二日目①

「「終わっっっっったぁぁぁ」」


 駆と聡の二人が机に突っ伏しながらそう言ったのは、とっくに日を跨ぎ、それから三時間ほどが過ぎてからだった。


「おう、お疲れさん。とりあえずこれ以上は集中ももたないだろうし、寝るか」


「「おーう……」」


「布団は無いけど、一応寝袋はあるから、適当に使って寝てくれ」


 修哉がそう言うも、駆と聡はもうすでに返事も返さなくなっていた。

 修哉も修哉で既に眠気が限界だったので寝袋を用意する気力もなく、今日ぐらいはいいか、とそのまま机に突っ伏して眠りについた。



 ~~~♪


 そして朝の七時三十分、修哉はセットしていたアラームで目が覚めた。

 そのままアラームを止めて起き上った。

 昨日はいつもより遅くまで生きていたことと、机で寝たことで身体が本調子ではなかったが、眠気覚ましもかねていつもの休日のように少し走って来ようと思い、ジャージに着替えて外に出た。


「眩しいな……」


 眩むような日差しに少し辟易しながらも、とりあえずいつも走っている川沿いの堤防まで行こうと足を動かし出した。



 それから30分ほど走って、良い感じに身体もいつもの調子に戻ったので、テスト前ということもありいつもより早めに切り上げて家に戻ってきて、汗を流そうとシャワーを浴びてから朝食をとることにした。

 今日はまだ親も起きているわけではないようなので、適当にパンでも焼こうかとキッチンに立った時、誰か起きてきたようで声が聞こえてリビングの扉が開いた。


「あれ、修哉おはよう、今日は早起きだね?」


 そう言って声を掛けてきたのは、ちょうど今起きてきたのかまだ少し眠そうにしている美華だった。

 美華の後ろにはちょうど一緒に起きたのか愛莉と友里の姿もあった。


「三人ともおはよ、机で寝ちゃった所為かいつもよりは早めに目が覚めたんだよ」


「へえ、あ、今からパン焼くの? 私たちのもよろしく!」


 すると目ざとく修哉がパンを焼こうとしているのを見つけたようで、自分たちのも、と美華が頼んできた。


「いいけど、二人もパン焼いていいの? ジャムとかもあるけど」


 修哉が愛莉と友里に聞き、朝食を準備してそれぞれ朝食を食べ始めた。

 そこで、そう言えば昨日駆たちに女子と一緒にやる、と約束したことを思い出して誘ってみた。


「今日は一緒に勉強しないか? 美華に聞きたいとこもあるし、大人数の方が楽しそうだし」


 すると、美華が、


「あ、ちょうどいい、私たちもそう言おうと思ってたんだ。修哉の部屋でいい?」


 快く承諾してくれたので、朝食を食べて準備をしたら修哉の部屋に来ることになった。

 それなら早く朝食を食べて二人を起こしに行こうと思って少し急ぎ目に食べ始めた。

 少し、いつもより機嫌のよさそうな、テンションの高そうな三人が気になりもしたが、機嫌がいい分には問題ないか、と特に気にしないことにしてさっさと食べて一度部屋に戻った。


 修哉が部屋に戻ってから、美華たちも準備をするために一度部屋に戻って扉を閉めてから、ようやく、堰を切ったように友里が愛莉に話し始めた。


「やったね愛莉ちゃん! いきなりチャンスだよ! こっちから誘う予定だったけど、向こうから誘ってくれたから気楽に行けるね、ここで仲良くなって少しでも距離を詰めるんだよ!」


 愛莉は自分よりテンションの上がっている友里を見て少し恥ずかしくなりながら、


「友里ちゃん落ち着いて、今日は勉強に来てるんだし、それに修哉君も教えて欲しいところがあるから誘ってくれたんだから、きっと」


「そうはいっても、一緒にやった方が楽しいっていってたじゃん! それに勉強でも距離を詰められるんだから、頑張らなきゃ!」


 そう話していた。


「ねえ、二人とも、とりあえず準備しない? とりあえず向こうもまだ時間はあると思うけど、男子より私たちの方が準備に時間かかりそうだし」


 愛莉と友里が話しているところに美華がそう言ってきた。

 愛莉と友里もその通りだと準備をし始めた。




「二人とも、そろそろ起きろ」


 その頃、修哉はなかなか起きようとしない駆と聡の二人を起こしていた。


「あと五分……」

「……zzz」


 全然起きようとしない二人に少しイラついてきた修哉は一度キッチンまで行って、氷を二つ持ってきた。

 そしてその氷を一つずつ、二人の服の中に入れてやった。


「「!? 冷たっ!」」


 流石に目が覚めたのか、駆と聡は飛び起きた。


「何しやがる!? もうちょいマシな起こし方あっただろうが!」


「それで起きないんだから仕方ない。そんなことよりいいのか? 美華たちがもうすぐ来るけど、寝起きの今のままでゆっくりしてても」


「「それを先に言え!」」


 いきなり冷たい氷を背中に入れられて寝起きから怒っていた二人だったが、修哉のその言葉を聞いて、慌ただしく着替えて部屋から出ていった。


(……何も持たずに行ったけどあいつら大丈夫か?)


 洗面所に向かったくせに、歯ブラシなど何も持たずに行った二人に少し呆れながら、修哉は部屋の掃除を軽くしておこうと少し散らばっていた荷物を手に取って動き始めた。


(まあ、これぐらいでいいか)


 あの後、もう一度戻ってきて、今度こそ準備をしに行った二人を見送ったりしながら、ある程度は満足できると思えるぐらいに部屋を片付け終えた修哉が部屋から出ようとすると、ちょうど美華が部屋に来た。


「あ、修哉、ちょっと机運ぶの手伝ってくれない? 私の部屋の机を持って来ようと思ったんだけど」


「あ、そっか、俺の部屋の机だけじゃさすがに狭いしな、分かった。今から行くよ」


 そう言って、美華の部屋へと机を取りに行った。

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