第10.5話 思い出がいいものばかりとは限らない

「おい立花てめぇ! 最後なんでパス出さなかった!? 俺がフリーだったの見えてただろがよ!?」

「お、おいやめろよタケ! お前らも見てないで止めろ!」

「離せよ宮田ミヤ! こいつが最後無茶苦茶突っ込まなけりゃ、最悪延長戦にすることもできただろ?!」

「落ち着けって! 別に大和やまと1人のせいじゃないだろ?」

「こいつがワンマンプレーしなけりゃ……! こいつのミスのせいでこれで3年引退なんだぞ!!」

「そうだぞ! バスケはチームプレイなんだぞ! お前が勝手なことしたから負けたんだよ! お前のせいだぞ!!」

「チームプレイね……。俺よりヘタなくせに偉そうに」

「あ? なんだちょっと上手いからって2年が調子に乗んなよ!」

「やめろって! 大和やまとあおるようなこと言うなって!!」

宮田みや、俺バスケ辞めるわ。」

「おいコラ! 逃げんのか立花?!」

「待てって大和やまと! 大和やまと!!」





――――

「夢か……くそっ」


 嫌なことを思い出してしまった。思わず舌打ちが出る。


「チームプレイね……。くだらねー」


 足を引っ張るのを果たしてチームと言えるのだろうか。まぁいい。とっくの昔の話だ。


 スマホを見ると17時を過ぎていた。だいぶ寝ていたようだ。まぁ、変な女神のところに飛ばされ、またよく分からないところに飛ばされ、盗賊に飛び蹴りしてエルフと野宿(寝てない)したのだ。そりゃ疲れてるはずだ。


「とりあえず、エリクセンに行く手段を調べるか」


 ベッドを降り、荷物と槍を手に、1人身支度を始めた。




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