第2話

いつものように、学校から宿舎に戻る。玄関を開けた瞬間、女の子が数人立っていた。呆然と佇む私にいきなり韓国語で喋りかけてきた。全く韓国語を知らない私は頭の中が迷路状態…

すぐに空港で同じ宿舎の美南ちゃんに助けを求める。美南ちゃんは廊下の向こう側からジェット機のように駆けつける。

美南ちゃんが訳してくれた。どうやら話かけてきた子達は同じ練習生らしい。

これでここの宿舎には10人という人数が揃った。

状況を理解した私のポケットからブルブルと振動がしてきた。すぐさま携帯を取り出すと、見知らぬ番号が表示されていた。

私はとてつもなく警戒心が強いため、知ってる番号以外は出ない事にしている。電源ボタンを押そうとした瞬間、美南ちゃんが「あっ!その番号、今度入所する事務所からの番号だよ」

急いで私は、通話ボタンを連打した。

「もしもし?」「あっ、今度からあなた方の先生になる、ミョンと申します」「はい…」「今日17時にbn entertainmentに来てください」そんなミョン先生も日本語がペラペラだった。私の周りには日本語喋れる人がいて良かった~。でもそう思えるのもあと2時間も満たないことに気づいていない私。

bn entertainmentの前に着いた私。心臓の鼓動を抱えながら入口に入る。

「すみません…練習せ…」「네!나노하 씨 지요?십 연습실에 가세요」なんとなく自分の名前は聞き取れたからとりあえず頷いてみた。

あら?でも練習室って何番だろう…?分からないまま足を踏み出し始める。「美南ちゃん!助けて~!!」そんな気持ちを抱きながら足を踏み出し始める。

向こうからただならぬオーラをまとった高身長の男性が走ってくる。通り過ぎた時、彼のマネージャーが「…急がないと、収録遅れちゃうわよ!」と鬼の形相でひたすら喋りかけていた。

そんな気を取られているうちに、約束時間を2、3分過ぎていた。未だに練習室が分からず、もう建物内を4周くらいしている。絶望に暮れていると、向こう側から貫禄のあるおじさんがこっちに向けて手を振っている。理解出来ないままおじさんのもとに近づくと、おじさんは手を引っ張り「10」と書かれた部屋の前に連れてきた。恐る恐る入ってみると、そこには空港で会った子達や玄関先で立っていた韓国の子が勢揃いだ。すぐさま端に座り、綺麗なお姉さんが腰をあげた。

「菜乃葉ちゃん、私が訳すから」そう頼りになる美南ちゃんはお姉さんが喋り始めた途端、私の耳元で日本語にしてくれた。「皆さん、こんばんは!私はミョン・ミヒョンです。これから皆さんの先生になります。今日はとりあえず挨拶だけなのでこれで解散しましょう。」ミヒョン先生はさっそうと扉を閉めて行った。

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