幼馴染みが美少女とバレた

 今日は週の始めで、また学校が始まるのかと憂鬱な気分になりながら教室のドアを開けるといつもと違う違和感を感じた。

 具体的に言うと、好奇な視線で見られているといえば正しいと思う。

 まだ俺と決まった訳ではないので、いつも通り席に座ると。

「な、なあイシナミ!」

 今まで喋ったことがなかった生徒に話しかけられた。あと、さらっと人の名前間違うのはやめようか。

「な、何?」

俺は一つ深呼吸をし聞き返すと。

「昨日の日曜日に一緒にいた美少女って

 誰だ?!お前の彼女か?!」

昨日。つまり文月とデートしたときの事だ。

 文月は、基本俺の家以外では綺麗な格好にはしないのだが、デートとやらに張り切ってあの姿にしたらしい。

「ちょ、ちょっといいかな」

「ん?お、おう。大丈夫だぞ」

俺は一度席を外し走って中庭に出る。

 そしてすぐに文月に電話を掛ける。

数コールして文月は出た。

「もしもし」

『もしもし?どうしたの?』

「昨日俺達デートに行っただろ」

『うん。それが?』

「学校の奴らにバレた」

「………え?ほんとに?」

「ああ。ほんとに」

 そのあと俺は文月に事の経緯を教え、どうするかを一緒に考えた。

「俺的には言ってもいいと思うけど」

「どうして?」

「幼馴染みと認めてしまえば、学校でも話せる

 ようになるし、お前をみる目も変わるだろ」

「…別に変えたいわけではないけどなぁ」

 そしてこの後二人とも特に影響力があるわけでも無いから大丈夫だろということで、伏せるところは伏せるが俺達が幼馴染みであるということを言うことにした。

 教室に戻ると案の定俺の席の周りにはクラスメイトがいた。

「ごめん。ちょっと時間掛かった」

「いや、大丈夫だ。早速話を聞かせてくれ」

 そして俺は、クラスの文月と幼馴染みである事を話した。話すメリットは学校でも喋れるようになる事だが、あいつの場合人気も出そうだな。

そんなことを考えながら話し終わると、

「へぇ~、あの美少女って宮川だったのか~」

「いつも影が薄いけど、しっかりしたら

 可愛いって…どこのラノベ?」

「お前ら幼馴染みだったのか~」

と、人によって色々なことが喋られている。

だが、そこに共通するのは、

「いやけど本当に可愛いよな~」

「確かに」「それな」

と、こんな感じの感想だ。

 もしかしたら、あいつもついにリア充デビューでは?

 幼馴染みが良く言われているのは聞いていても気持ちいい。

 そして休み時間が終わりそろそろ授業というところで解放された。

 あまり目立ちすぎるのも何なので、クラスの奴らには一応口止めはしておいた。

 守ってくれるかはわからないが、他のクラスなどに知られても良いことは無いと考えたのか全員納得してくれた。

聞き分けが良くて助かる。

 一時期クラスの話題になりそうだが、他のクラスには伝わらないのを考えれば長いこと話題になることは無さそうだ。

 そろそろ本当に授業が始まるので、俺は再度集中することにした。





____________________________________________

文月が美少女になって女子の嫉妬…とかはないです(多分)。

あくまで優しい世界を作っていきたいなと思います。

今回も見てくれて本当にありがとうございます!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る