幼馴染みは俺とデートするらしい
「さっ、行こっ!」
「……外で待ち合わせる意味あります?」
今の時刻は、正午。今はショッピングセンターに来ている。
朝の9時ぐらいまで俺の家にいたが、つい寝てしまってメイクが崩れたり、服装をしっかり決めたいとのことで一度家に帰っていった。
俺は今の文月でも可愛いけどなと言ったら、
『い、いきなりそんなこと言わないでっ!』
と言われてしまった。
ありのままの事を言ったのだが、ダメだったらしい。解せぬ。
と、そこまでは良かったがどちらの家からも近い公園で合流しようと提案したらすぐに却下されて今に至る。
ここでも公園でも変わらないと思うのは俺だけだろうか。いや、そんなことはない。
「そんなこと言ってないで早く行こうよ!」
「はいはい、俺に拒否権はないんだろ」
「もちろん!」
「いや満面の笑みで言われても……」
口ではこういっているものの、俺自体も結構楽しみにしていた。
善は急げなので早速向かうことにする。
デートと言っても生活必需品を見たり、文房具や本を見るだけなのでこれと言ってデート感が出るわけでもあるまい。
「どうしたの?行こ?」
「そうだな」
無駄なことを考えるのはやめて、今は流れに身を任せよう。
そして俺達のデートが始まった。
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「あ、これ可愛い~!けどこっちも使いやすい
な~」
今は文房具をみに来ている。
どうやら、ずっと使ってきたシャーペンが壊れたらしく、新しいシャーペンを探しに来たとの事。
デザイン重視か使いやすさ重視で迷っているらしい。
値段は………両方とも変わらないな。
俺はささっとバレないように二本取り、すぐに会計を済ます。
そして幼馴染みのところに向かい、シャーペンが入った袋を渡す。
「ん?これって…」
「さっき迷ってたシャーペンどっちも買ってき
た」
「い、いや悪いよ!全額出すから!」
「気にするな。ていうかお前、シャーペン何本
持ってる?」
「一本だけど……」
「相変わらず無駄を省く精神は変わってないん
だな」
昔から文月は無駄遣いをしない。
女子は色々な新しいものを買いたがるが、文月は何年も何年も同じのを使い、壊れては直し、壊れては直しを繰り返して、それでも駄目な場合初めて二個目を買おうという決心をするような性格だった。
特別文月の家庭が困っているということもないため元々ああいう性格なのだろう。
だから買ってやろうかと提案すれば絶対に断るのは目に見えている。
なのでもう済ましておいて渡した方が案外効率は良かったりする。
「…じゃあ私も一本買う」
「気にすんなって。俺が勝手にやったことだか
ら」
「じゃあ私も勝手にやる」
こうなると止められないのも変わらないな。
文月はいうが早くすぐにシャーペンを取ってレジに向かってしまった。
そして待つこと数分。袋を渡されたので中身を確認するとさっきの色違いが入っていた。
「ちょうど色違いがあったの。だから、
それにしてみた」
といって俺が買った方の袋からシャーペンを取り出し見せてきた。
顔が熱くなってくるのを感じていると、文月
がもじもじしながら、
「お揃いだね」
はにかみながらそう言ってきた。
そのあと顔が真っ赤になりトイレに駆け込んだのはいうまでもない。
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