幼馴染みは俺とデートしたいらしい
カーテンの隙間から射し込んでくる太陽の光
で少しずつ目が覚めてきた。
だが、生憎今日は休日なので二度寝を決めようとして隣にある温かく、柔らかい何かを抱き寄せながら………抱き寄せながら?!
俺は一気に目が覚めて、恐る恐る目を開けて確認すると、我が幼馴染みの文月がいた。
一瞬叫びそうになったが、あまりにも文月が気持ち良さそうに寝ているため、なけなしの理性で抑えた。ナイス理性。
文月は寝惚けているのか俺の胸板に顔を擦り付けまた可愛らしい寝息を立てて眠りについた。
……流石にそろそろ状況を把握したいので、心を鬼にして、文月を起こすことにした。
「あの~、文月さん?起きてもらえません
かね?」
「ん~?なに?けいくん?」
「ちょっと今の状況が把握出来ないんだけど」
俺が声をかけると体を起こし、思いきり体を伸ばしている。
「つられて寝ちゃった」
「何故ここにいるんですかね?
こんな朝早く」
「いや~今日京くん予定あるか聞きに行こうと
して」
「聞こうとして?」
「京くんの部屋に入ったら」
「入ったら?」
「気持ちよさそ~に寝てたし起きそうもなかっ
たから布団に入って横になったってわけ」
「……ちなみに寝ているとき俺何してた?」
「布団に入って少ししたらいきなり抱き締めて
きたよ」
「………………………はい?何て?」
「だから、抱き締めてきたって」
ああ~、やばい。何がやばいって無意識に文月を抱き締めていたのもやばいし、抱き締めた時の感触を覚えていないことにガッカリしている自分にもびっくりだ。
俺はすぐに正座して、両手をつくと、
「誠に申し訳ございませんでした」
土下座した。そうジャパニーズ土下座。
「だ、大丈夫だよ。そんな深く考えないで。
無意識の事だし。
……それにちょっと嬉しかったし」
「ん?最後なんて?」
「~~~~っ!何でもない!」
何かごり押しされた気がしたが、気にしない気にしない。
って、そうじゃなかった。
「さて、何故お前は休日に俺の部屋に来ている
んだ?」
別に来ることは珍しくない。
ていうか土日もしょっちゅう来ている。
ただ、こんな朝早くから来たことなんて一度もなかった。
「あ、そうだったそうだった。すっかり
忘れてた」
「趣旨を忘れるなよ……」
「何故こんなに朝早くからここに来ているかと
いうと」
次に放たれる言葉で俺は思いっきり度肝を抜かれる。
「デートをしようと思います!」
めんどくさそうなことが起きそうな気がしたのは決しておれだけではないだろう。
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