幼馴染みは学校でも関わりたいらしい

「次の授業は………うげ、体育じゃん」

 俺は一人日程表を見て落ち込む。

 俺は隠れ高スペックなんてチートの所業は持ち合わせていないので、体を動かす系統はどうしても苦手意識が出てしまう。

だが授業は変えられない。

 俺は憂鬱な気分になりながらも、体育館に向かうのだった。



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「二人一組で練習してくれ」

はい、ぼっち潰し来たー。

 今日はバレーをやるので、アップ代わりに対人パスの練習をやれとの事。

 普通の人なら持ち前のコミュ力を発揮して、

自分の相手を探すのだろうが、圧倒的ぼっちにそれを求めるのは酷である。

 故に一人で練習するルートまっしぐらということだ。

 周りの交友関係ぐらい把握していてほしいもんだ。

「ねぇ、ちょっといい?」

 と、一人卑屈な考えをしていたところで、声をかけられる。

 それはどこか聞き慣れているような声で、はたまた学校では聞くことはないだろうと思っていた声で。

 呼ばれた方向を向くと、そこには我が幼馴染み文月がいた。

 相変わらず学校では分厚い眼鏡にボサボサの髪、そして人を寄せ付けない態度である。

「……おい、学校では関わらないんじゃなか

 ったのか?」

「私以外誰も余っていないんだもん」

 そういえば今日は男女混合とか言っていたような言っていなかったような。

 周りを見るとリア充達は、女子と組んでいるやつも多い。

 それなら俺達が組んでいようがさほど目立つことはないだろう。

「…………それにこうやって関わっていけば

 自然に話せるようになるしね。」

「ん!なんかいったか?」

「う、ううん!何でもない!」

 何か独り言を言っていた気がするが気のせいだったようだ。

 さて、周りはそろそろ練習しだしているところも増えてきた。

この陰キャぼっちの本気を見せてやる!




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「はぁ、はぁ、ゴホッゴホッ!」

「だ、大丈夫?」

まあ、いきなりあまくなるわけはないよな。

 案の定、開始早々息を切らした俺はなんとか練習し終えて休憩している。

隣には文月。

………うん、放課後と特に変わらんな。

「もう帰っていい?疲れたんだけど」

「ダメだよ。て言うか京くんちゃんと運動した

 方がいいよ。高校生でその体力は流石にやば

 いよ」

「やだよ、疲れる」

「向上心無さすぎ……。そろそろ行くよ」

どうやら休憩時間は終わりらしい。

まだ全回復していないがしょうがない。

と、立ったところで。

「危ない!」

誰かが打ったバレーボールがこっちに向かってきていた。

俺は咄嗟に文月の手を引き、

スマートにボールを避け---------------------------------

「へぶっ!」

れなかった。

 文月にぶつかることはなかったものの代わりに俺の顔面に直撃した。

そこから先の記憶があまりない。



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「あれ?ここは?」

目を覚ますと見慣れない天井が見えた。

「あ、起きた?」

近くから文月の声が聞こえる。

俺は体を起こし、見てみるとそこは保健室だった。

「保健室の先生は?」

「今日はいないみたい」

ここには俺達以外誰もいないらしい。

「さっきはありがと………」

さっき?ああ、あの事か。

「気にすんな。あれはあっちのミスだ」

「結構謝ってたよ」

「そうか。ま、大丈夫だろ」

鼻が少し痛いだけで他には特に怪我をしているところはないようだ。

「まあ、いいや。帰ろうぜ。あ、つっても学校

 では関わんないんだっけか」

「もう誰もいないだろうから大丈夫だと

 思うよ」

「そうか。んじゃ行こう」

 顔にボールが当たったのは災難だったが、好きな女の子と帰られるんだったら安いもんだと改めて再確認出来た俺だった。

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