幼馴染みは俺の昼飯を作ってくれるらしい

 今日も今日とて学校がある。

 まあ、学生なら当たり前の事なのだが。

 まだ、入学してから日は浅いので本格的な授業が始まった訳ではないが面倒くさいとは思ってしまう。

 俺はいつも出来る限り人とは会いたくないのでぎりぎりに登校している。

 以前、文月に一緒に登校しようと誘われた

が、あまりにも行くのが遅くなってしまうので、断っていた。

今の説明でも分かるかぎり俺はぼっちである。

 別に問題児というわけでもなければ何か目立とうとしているわけでもないので、必然的にそうなってしまった。

 人と話せないわけではないが、1日にあることが毎日特に変わらないので話題がなく、つまらないことになってしまうとわかっているの

で、話さなくなってしまった。

 今までもずっとそうだったし気にすることもないが、一人ぐらいいても困ることはないと常々思っているのでどうにかしたいと思っている今日この頃であった。



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 学校に着いて下駄箱に靴を取ろうとすると見慣れない四角い形をした袋があった。

 さっと風呂敷を外し、箱を見てみると付箋が貼っていた。

『いつも菓子パンばっかりだから今日から私が

 弁当作ることにした。感想よろしく』

ということらしい。

………うん、意味がワカラナイデスネー。

 俺は弁当箱を鞄にしまい、すぐさま文月に

連絡する。

『弁当が下駄箱に入っていた件』

『本のタイトルみたい』

『まぁ、狙って言ったからなって違~う!

 何か弁当箱が入っていたんだが?!』

『必要なことは付箋に書いたよ?』

『いや、弁当自体は嬉しいが作ってくれるなら

 言ってくれても良かったのに』

『サプライズ大成功~!』

朝からテンションが高すぎる。この女。

『感想聞きたいから一緒にご飯食べよ?

 拒否権は認めません』

『はぁ?!ちょっと待てどういうことーーー』

それから何を送っても既読にならなかったのは

言うまでもない。



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 今は、四時限目が終わりようやく飯の時間になる。

 そして必然的に思い出すのはーーーーーーー

「今から文月と飯食うのか…」

 そう、朝に決めた一緒に飯を食べようということである。

 そのあと既読が付いたと思えば、

『屋上に続く階段』

と、場所指定されてまた既読が付かなくなった。

 行かなきゃ行かないで面倒くさいことになるのは目に見えているので、弁当箱を持って階段のところに向かうのだった。



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「あ、来た来た」

 階段をのぼっていくと文月が先に来ていた。

「弁当作ってくれるなら言ってくれよ」

「そしたらサプライズがなくなっちゃうじゃん

 か」

「サプライズは平穏な生活には必要ないんだよ

……」

 俺は文月の隣に座り、作ってもらった弁当箱

を開く。

「おお……!」

 そこには、綺麗な形をした卵焼きにきんぴらごぼう、そして手作りだと思われるハンバーグなど色々な種類の具材が入っていた。

 俺は早速食べようとすると、手からひょいと

弁当を取られる。

「何すんだよ」

「これを作ったのは誰かな?京くん?

 私だよね?だからこのお弁当をどうするかは

 私次第ってこと」

「…何を言いたいんだよ」

「はい、あ~ん」

「はいっ?!」

あまりの展開の速さに声が上擦ってしまった。

 た、確かに作ったのは文月でどうするかも自由だが、それは不意打ちすぎる!

「どうしたの?食べないの?じゃあ今日は

 お昼ごはん抜きかな~」

「く、くそ!」

ええいこうならやけだ!

「食べないの?」

「食べる!」

「はい、あ~ん」

 俺は勢いに任せてぱくっと卵焼きを頬張る。

恥ずかしさも十分あったがそれ以上に、

「う、美味い!」

「良かった~」

 冷めているのになかはふわふわで味付けもしっかりしている。

お世辞抜きで美味い!美味すぎる!

「他のも食べて良いよ」

 俺は文月のお許しを頂いたので続きを食べることにする。

 その時ちらっと見えた耳が真っ赤だったの

は、俺の見間違いだろう。

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