第2話「満身創痍」

周囲を警戒はしながらも5時間弱歩き続けた結果、

俺は生きる一筋の希望をつかみとった。 



川を見つけた。

見たところ小川であるし、魚はいない。しかし、これで渇いた喉を潤すことができる。本来ならば濾過なりなんなりしないといけないのだろうが、そんな暇はない。ぐいっと飲む。

最高だ。水がこんなにも美味い、俺は生きてるって実感が湧く。それに川を見つけたことで、いままでのように東にただ歩くのではなく、道標ができた。紀元前5000年人類がチグリス川、ユーフラテス川の下流一帯で一大文明を築き上げたように、川の周辺には必ず集落があるはずだ。

歩こう。正直もう足はヘトヘトで、裸足ゆえに足裏の感覚は麻痺している。休ませてくれ、と体が訴えてくる。それでも今は歩かなくてはならない。


〜3時間後〜

俺は今大ピンチだ。

眼前には全長3mは軽く越える熊(ツノ付き)がいる。

油断していた。川沿いにはきっと人がいるだろうからと、警戒を怠っていた。当たり前だが人以外の生物にとっても川は生命線なのだ。そりゃ、川沿いは外敵と遭遇する可能性が必然的に高くなる。

、、、、、、まずい。どうする?生存ルートは2つある。倒すor逃げるか、だ。しかし前者の選択肢はあってないようなものだ。俺のスキルの特性上対人相手ではないと、意味がないものばかりだ。

っていうか発動方法知らん。後者にしても、走って逃げても逃げ切れるどうか怪しい。こっちは疲労困憊の村人Aだからな……………………………って考えてたら、くまが大きく振りかぶりクマクローが頭めがけて!!!


「やめてくれぇぇえ!!!!」

その瞬間、


        時が止まった。


「なにが、起こった?」そう口に出さずにはいられない。目の前に映る全てのものがまるで、石になったように動かない。熊も、川の水も、空中で舞う木の葉すら動かない。そして、目の前には見えない平面にプロジェクターで画面を投影したような、、、わかりやすくいうと某SAOの世界のメニュー画面のようなものが在る。

そこには、一文

         《警告》

スキル保有者が危機的状況に陥ったため、スキル【時間停止】を強制発動しました。


そんなんあるんだったら先にいってよ!!!そう考えずにはいられないが、とにかく助かった。今一番すべきことは、

「うん、逃げよう。」


【時間停止】スキルの効果がきれ、一段落がついたとき、新たなる発見をした。ステータスバーの表示する方法が何となくわかったのだ。なぜそれが今だったのか、普通最初から表示できるものなんじゃないか(半ギレ)という疑問はさておき、これで色々活動の幅が広まった。

〜30分後〜

あれこれ検証してみてわかったことをまとめると

[]ステータス[]

職業:転生者

レベル:1

HP:324

MP:400

力:F

魔法力:F

物理防御:F

魔法防御:F

俊敏:D

器用さ:D

運(固定):G

[]スキル[]

【透視】:指定した対象の存在を無視できる

【透明化】:自己のみ指定した対象からの存在を消せる

【ステルス】:気配を遮断できる

【時間停止】:半径100m以内にある物質全ての時間を止められる

【自強化γ】:陰部の保持力が少しだけ上昇

【無音移動】:無音で移動が可能


そしてこの世界についてまとめておくと、

・正直思ったよりも人生ハードモード

・日が出ててもモンスター(?)は活動している

・貰うスキルの選択を間違えたかもしれない

、、、、、、割とこれ人生詰んでね??

それにかれこれ転生してから半日程立っているそろそろ日がくれてきそうだ。とにかく、今は歩くしかない。

一歩、

力を込めて踏み出すが、

急に意識が朦朧としてきて、

俺はその場に倒れこんでしまった。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次回やっと女の子が出てきます。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る