第11話「魔の森」
アインズ様の追跡魔法によって得た、賊の居場所とされる魔の森の奥にある古代の塔
エンシェントタワー
へと向かって、森を俺は歩いていた。 先陣には拳闘士隊50名と暗黒精霊術師隊30名、その後方に闇魔導士隊30名、そしてジン中隊長率いる暗黒騎士団10名で俺達は行動をしていた。
「どうだ? その剣は使えそうか?」
出発前に俺に剣を貸してくれたジン中隊長が、一歩下がった位置で歩く俺に後ろを振り向き聞いてきた。
「はい! 見た目とは裏腹に意外と軽くて、これなら俺にも使えそうですよ」
「だろ? そいつは魔力を帯びた魔剣だからな。 ま、ただ戦いに関しては俺と隊員達で護衛してやるから、いざという時の護身用に過ぎないがな。」
「ありがとうございます。 助かります、でも、俺だって戦いますよ」
「そいつは頼もしいな」
そう言うと、ジン中隊長は大きな声で笑っていた。
「しかしよ、お前さんはあくまでも魔王様の執事ってことを忘れるなよ」
先程まで笑っていたジン中隊長だったが、真面目な顔をして返した言葉の真意は俺には理解できた。 でも、俺は魔王様を救えるなら戦う覚悟を捨てることは出来なかった為、その返答に言葉を返すことは出来なかった。
更に小一時間程歩くと目の前には塔が見えてきた。 塔のてっぺんは地上からは見えなく、果てしなく長く、その頂は天まで続いているとも感じた。
「これが、古代の塔
エンシェントタワー
」
「ああ、神々が作ったっていう伝説が残る塔だ。 未だ、誰もその塔の最上階に辿り着いた奴はいないって話だぜ。」
ジン中隊長が立ち止まって話した後で更に言葉を続けた。
「しかし、妙だな。 ここまで賊の襲撃はおろか、モンスター1匹すらも襲ってきやしねぇ。」
確かに妙だ。 この魔の森に住むモンスターはお城にいるような配下のモンスターとは違い、自我を持たないモンスターの群生地帯。 毎年、この魔の森に入りこみ命を落とす被害がある為、魔王軍が定期的にモンスター討伐をしているぐらいだ。 それなのに、ここまでモンスターが襲ってこない、いや、見ることもないなんてありえるのだろうか?
その後、塔の入り口前に集結した全軍が集結した。
「これより、賊の殲滅並びに魔王様救出を目的に塔の中へと入る! 先陣は我々、暗黒精霊術師隊が索敵術を使いながら先導する。 ここからの索敵術で感知で分かったことは、賊は塔の3階付近に居ると思われるが、何が起きるかは分からない。 塔に入り次第、より全員気を引き締めて任務にあたって欲しい!」
暗黒精霊術師隊の隊長ミホーク殿が号令をかけると、それに他の者達も「オオーー!」と呼応した。
そして、ミホーク隊長自らとその部下達が塔の入り口である巨大な扉を押し開けていく。
扉の奥には微かに数十の大小異なる影が見えた気がした。
そして、それが見えた瞬間と同時に塔の周りからは獣臭が激しく匂った瞬間でもあった。
その僅か3秒後、誰かが叫んだ。
「敵襲!敵襲!敵襲!!」
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