第9話 貴様っ!

スカートで隠れているとはいえ、下着はかなりヤバい状態だ。

シスはいつもより歩く歩幅が小さくなる


「ダメだよ?いつも通りでないと…ね?」

イッキからのダメ出し

「そ、それは分かっているんだけど…

  やっぱりドキドキするし、少し怖いわ」

10才の子供だ。当然である…が、かなりマセていた

「大丈夫。僕がフォローするし、絶対バレないよ」


子供にとって、信頼する人からの…"絶対"

これは言葉の魔力…いや、呪いか。


「わ、分かったわ…頑張るね私っ」



◇◇◇


「やっぱり階段が1番ドキドキしたわ」

使用人たちとすれ違う度、シスはスカートを押さえていた。しかし誰もいない時は、うしろを歩く僕に見せつけるようにしてたよね


「丸見えだよ?」

「だって見せてるもの」

「だと思った」

「分かる?やっぱり」

会話しながら2人は部屋に戻った



………

……

「あれ?みんながいないよ?」

「どこ行ったのかしら…」

2人は迷子になった


「別にいっか」

「…でも、一応探しましょうよ」

「めんどくさいなぁ…。まぁ、キミが言うならそうしようか」

2人は手分けして探すことにした


「じゃ、僕はこっちの一階を探すよ」

「えぇ分かったわ。私は二階ね」

大部屋含む一階エリアと、個室がある二階とに分けた

「いい? 1時間後にまたココに集合だよ?」

「1時間後ね。それじゃあまた後で。」


◇◇◇


「個室がいっぱいで、これは大変ね」

二階に上がったシスは、廊下の端から眺めて、声を出す

「手前から見ていきましょうか…」


シスは一部屋一部屋、ノックしては確認していった


五つ目の部屋のドアをノックした時、今までとは違う感覚がうまれる

「…、…っ」

微だが、確かに声が聞こえたのだ


シスは早く見つけて、イッキの所に戻りたかった。それにノックをした事で、一応のマナーは守ったという、自己弁解も加わってドアを開けた

開けた瞬間シスは後悔する

ロベルトが裸で***をしていたからだ。

よりによって扉側を向いてやっていた為、バッチリ目撃してしまう


「きゃ…むぐっ?!」

シスは叫び声を上げた。だが、ロベルトが素早くシスの口を塞ぐ

「お、大声をだ、出さないでっ」

ロベルトの血走った目と、激しい息遣い…なにより下半身のモノに恐怖するシス


(いやぁぁっ…助けてイッキ様っ!)

シスの目から涙が溢れてきた

「おとなしく、おとなしくして下さい」

ロベルトは別に、シスに対して危害を加えようなどとは全く考えていない。寧ろ好意をもっているのだ。できるはずがない

だが、状況が状況だけに…人を呼ばれるのは拙い、と思ってからのことである


ロベルトはそう思ったが故に、拘束する力が知らず知らずのうち…緩んだ

(い、いまだわっ)

シスは腕を振りほどき逃げる

しかし相手は幼少期より鍛えられた脳筋だ。直ぐ掴まり押し倒されてしまった


シスのはだけたスカートから下着が見える

パンツは穴が開いて血が付いていた

それを見て限界に到達する

"ピュッ"

「うっ…」

ロベルトは射撃した。若さ故よく飛ぶ

「?! キュウ…カクっ」

顔まで飛んだ。その事実と、臭いでシスは気を失ってしまった


イッた直後は満足で満たされていたロベルト。だが、冷静になった今…もの凄くピンチであることに気付く

「このままでは非常に拙い…」

ロベルトはどうにかしようと考える

が、脳筋である。ドンドンと悪化していった


「とりあえず血の付いたパンツはダメだな…」

シスからパンツを脱がして取ると、隠す場所もないので自分のポケットに突っ込んだ

「顔もヤバイか…」

布で拭けば良いものを、手で拭ってしまう。顔中にロベルト汁が広がった

「あとは…そうだな」

シスを床に寝かしたままは、いただけないと自分のベッドに連れて行った


「よーし…こんなもんだろう」

ロベルトは一仕事終え、自分に良くやったと満足気に独言る


「何が "よし" なんだ?」

?!

「父上っ?!」

そこに現れた父親。ロベルトは二の句が告げれない

「騒がしいにもほど…が…?!」


ロマニア領主、ロベルトの父は言葉を失う

ロベルトのベッドにシスが寝ているからだ

「お、お前まさかっ?!」

「ち、違います父親っ!」

ロベルトは声を張り上げた


「ロマニア殿、いかがなされた?廊下までこ…え、が?」

イーシスが部屋に入って来てしまう

「ロベルト君、まさかとは思うが…」

「いえ、違いますっ。シス嬢が倒れられたので、自分のベッドに寝てもらっているのです」


「「な、なるほど…」」

2人の父親は安堵した

しかし、次の問題がうまれる

「た、倒れられた? 無事なんだろうなロベルトっ!」

慌てる父親

「ロマニア殿、シスは長旅で疲れたのやもしれん。シスを連れて部屋に戻るがよいか?」

「あぁ、イーシス殿のお気持ちは十二分に分かる。そのようにしてもらって結構だ」


イーシスがシスに近づいていく

ロベルトは冷や汗をかいて、阻止を試みる

「いけませんっ!倒れた拍子に、頭を打たれたかもしれないのです。いま、起こされるのは拙いっ」

「拙い? 何がかね?? それに頭をぶつけたなら、ちゃんと見てもらわなければならないな」

「その通りだぞ、ロベルトよ。イーシス殿にシス嬢を」

「ダメです。ダメなんですっ!」

あまりの剣幕に不審に感じ出す2人の父親


「いいからそこを退けロベルト」

ロベルトは、父親に腕を掴まれた

「シス…大丈夫かい?」

気絶とは知らないイーシスは、寝ていると思って優しくシスを起こそうとする


?!

「こ、これは?!」

「いかがしたっ、イーシス殿?!」

突然、イーシスが驚き声を発した。それにロマニアも驚き2人に近づく


はだけたスカートの下は何も履いていない

顔は何故か、カピカピになっている

「ロベルト…どーゆーことだ?!」

父親が息子に問う


「い、いや…コレは、そのう…」

額どころか、身体中から嫌な汗をかくロベルト。彼は汗を拭こうとポケットから、布を出して額から拭きだした。

イーシスはある事に気が付く


「き、貴様っ…その手に持っているモノはなんだ…」

「あっ?!」

イーシスはロベルトから布を奪い取る

パンツにいやらしい加工がされた上、血が付いている。もしやシスの顔についているのは…


「き、貴様っ!!」

イーシスが激怒した

「ロマニア殿、コレはどういうことだっ?!」

それはロマニアも聞きたい

「ロベルトっ!! お前、シス嬢の初めてを奪ったのか?無理やりに?!」


「ふぇぇぇぇ? 違いますっ、違います!

自分がパンツを持っていたことも、穴が開いていることも、血が付いている、顔に射精したことも全部が偶然ですっ」

バカが自白した








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