第8話 そ…それは

「あれは、イッキ様が5歳になった時の…夜も遅くのことでございます


イッキ様が部屋の窓から、お1人で月を眺められて、おいででございました…

お誕生日会があった後にございます。少しばかり興奮されて、寝つけなかったやもしれません。

このバドラー、そんなイッキ様を影より見守っておりました。すると、声が聞こえてきたのです

イッキ様は誰かに話されてるという訳でなく、おそらくは独り言だったやもしれません


『うん。半分がいいね…僕はこの半分が欲しいな』

ちょうど、半月であったということもあり、月を見ながら話されるイッキ様は何とロマンチストなんだろう…と、思ったのです

そして、それが嬉しくもあり

私めが、つい独り言に返事をしてしまいました

『イッキ様、半月がいいなどと…月は丸くて月なのですよ』と。


さすればイッキ様が

『丸くて月…か。…いや、僕の手には余るな…

全部は要らない。だから半分が、僕にはちょうど良い』

最初は…この爺、恥ずかしながら"月" の話しとばかり思っていたのです

『半分ですか…では、イッキ様。残りの半分は、どのようになさるおつもりか?』

このバドラー、不覚にも謎掛けのつもりで話してしまいました…


『要らないなら、滅ぼせばよかろう。半分が

僕と同じなれば、その半分は邪魔だからな。

だから僕は最初から、"半分だけでいい" と言ったんだ。分かるかい爺や』


この私めは、その言葉を聞かされた時、自分の愚かで浅はかな思考を恥て、イッキ様に戦慄を覚えた


       …という訳でございます」



「………」

「イーシス殿、如何した?」

無言で硬直するイーシス。息をしているかも怪しいほどだ


「…バドラー、今の話は誠か?」

「もちろんでございます。実は、このバドラー…実際、聞いた身でありながら、あれは夢ではなかったのか…と、思う時が今でもあるのでございます」

「親の私でも疑うほどだ。仕方あるまいよ」


「だ、だが、半分とはっ?!

……

…はっ?!まさかっ、そうなのかロマニア殿っ?」

イーシスは父を見る

ゆっくりロマニアは頷いた

「バドラー、私の口からは…頼む」

父が爺に話すよう命をだす


「イーシス様のお考え通り…で、ございます。

欲しい半分…即ち人族を示された。そして…滅ぼすと言われたもう半分は…魔族。魔族領のことでございます」


「そ、それではイッキ君…いや、イッキ様はもしや?!」

「イーシス殿、他言無用で願いたい」

「は、はっ。心得たっ!

…だとすれば、シス如きではイッキ様に相応しくないっ。いや…ロマニア殿、本音を言って宜しいか?」

「あぁ…」

「イッキ様の伴侶・側室が無理なのは分かった…だが、それならば余計にでもロマニアと絆が欲しい。気が進まないが…ロベルト君とシス…どうであろうか?」


「イーシス殿の気持ちはよくわかる…。だが、ロベルトのような…あんな者でいいのか?」

「いいもなにもあるまい。あんな…だが、次期領主ではないか?」

「それはそうなんだが…なぁ」

目の前に転がって、気絶しているロベルトを眺めた


◇◇◇


家を案内せよと言われて、歩き回るイッキ

その後ろにはシスがピッタリくっ付いて歩く


「あのシス様? あまりくっ付かれては歩き難いのですが…。」

「我慢しなさいよ。男の子でしょ?

それとイッキ様、わたくしのことは"シス"とお呼びください」

「はいはい、分かったよシス」


「………」

「シス、どうしたのさ?」

「い、いえ…わたくしが呼んでって言って…直ぐに呼び捨てにされたのは、初めてだったもので…。」

え?そりゃ、呼べと言われたんだし普通じゃないか??

それとも、呼び捨てしろって言われても、愚図るよーなバカが…いやいや、いないよね?


「じゃ、シスも堅苦しい言葉遣いをやめてフレンドリーに話してよね?

僕もそっちの方が嬉しいなー」

「う、うん。分かったっ」

女の子の笑顔はイイね…惚れてしまいそうだよ僕

男の子の笑顔だと、殴りたくなるだけだけど。


◇◇◇



「ここがパパンの仕事場だよ」

「うん。凄く難しいそうな本がたくさんあるね…」

シスは部屋を見渡し、率直な感想をいう

「パパンはどんな仕事をしてるのかな?」

いくら元高校生のイッキとはいえ、領主の仕事など知るはずもない。イッキは近場の本を手に取った

「………」(娼婦をモノにする手法?)


アイツは何を勉強しているのだろう…と、イッキは思った。さすがにイッキでも、コレは違うとわかる

「イッキ様、どうしたの?」

…返事に困るイッキ。正直に言えるはずもない

「あー。恋愛?についてだと思う…。要するに仕事の息抜きに、恋愛小説を読んでるんじゃないかな?」

「おじ様、仕事に疲れてるのかしら?」

「そうかもしれないね。領主ってそうなんだと思うよ?」

(パパン、貸しだよ?)と思いながら、本を戻す


"カチリ"

ん?何の音だ?

……

"ゴゴゴゴゴ…"

本棚がスライドした。そして2人は目にする


「イッキ様…コレってもしかして…」

シスは赤くなる。ただでさえ色白な肌だ。人一倍真っ赤になっていた。

「くそぅ…オヤジめっ! これじゃ、"隠し"じゃなく、トラップじゃねーかっ」


2人が目にしたモノ…

最近妙に大人ぶったオヤジのコレクション。

かなり、いやアウトな下着やら色々な道具の数々…

イッキは"もう無理だ"と悟る


「あのっ…イッキ様…。 イッキ様は、どの様な下着がお好きですか?」

生まれて8年、猫を被ってきたつもりだ。こんな所でボロを出すつもりは無かった


「んー?僕はねぇ…この、大事な所が丸見えの下着がいいかなぁ…」

(いやいや、僕には早過ぎるよ。もっと大人になってから…のことだよソレは)


「えっ?! イッキ様って大胆なんだ…

私、イッキ様なら…いいよ?」

シスは大胆にもスカートをめくり上げる

「は、は履き替えさせてくだしゃい…」

(ん?おかしいぞ…何かが噛み合ってない)

シスのパンツを見ながら、イッキは少し記憶を遡って考えた…

………

……

?!

「逆じゃん?!」

しまったー、やらかしたーと思うイッキ。

前世の癖が全く抜けてない男


「分かったよ。シスが望むならね…」

あくまで "え?僕、手伝うだけだよ?" を、前面に押し出そうとする下衆な男である


「いいかい?降ろすよ?」

「う、うん…」

スルスル〜っと下げたら、ツルツルの大事な所が現れた

「恥ずかしいです…見ないでください…」

「見ながらでないと無理だよ…。左足を上げてっ」

片方づつ足を上げさせるイッキ。鼻血が

垂れていた。


「今度はコレを履かせるよ?」

イッキは穴あきのパンツを手に取り、また片方づつ足を上げさせる

「うん…サイズが合ってないね…」

イッキはガッカリした


「イッキ様…私のパンツに穴をあけたらどう…かな?」

「シス、その発想は無かったよ僕。凄いやっ、いい女だよシスは」

素早くハサミを手にして、イッキは特殊な加工をパンツに施す

「さぁ、履いてごらん?」

イッキの口周りは鼻血で真っ赤である


「イッキ様…私の大事な場所、丸見えですっ」

シスは鼻息が荒くなり、体からほんのりと少女の香りを放つ

「シス、今日一日そのままでいてね?」

イッキにそう言われて

シスはこの後のことを考える

じわりと秘部が濡れていた


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