第5話 兄弟?姉妹?

そうそう、どうやら僕にはお兄ちゃんがいるみたいだよ。

前はひとりっ子だったから嬉しいな

それと、パパンと、ママンが盛っちゃって…赤ちゃんが出来たみたいだね。


「イッキ様、朝食の準備が出来ました」

「うん、すぐに行くよ」

僕お腹ペコペコだよ

メイドに連れられて食の間に行く。既に皆は揃っているようだ。

「はい、お待たせしました。ごめんなさい」


「「おはよう」」

「おはようございます」

「……。」

挨拶をし合う

「…ところで、ソコのムスッとしているボクチャンは誰ですかね?」

僕はパパンとママンを見ながら尋ねた


「イッキの兄だ。忘れたのか?」

「はて?確かに居るとは存じてますが…このような挨拶もできないガキだとは知りませんでした」

僕は兄を見ながら答える


「な、なんだと?! 弟の分際でっ。オレは次期領主だぞっ」

兄は脂肪の塊りの体を、プルプルさせて怒った

「はいはい、次期領主さま。お腹空いたんで食べますよ? いただきまーすっ」

僕は温かいスープにスプーンを入れる


「くっ、コイツぅ!」

兄が手にしたフォークで僕を刺そうとした


"カンっ"

爺やがトレーでフォークの刺突を防ぐ

「坊っちゃま、フォークは人を刺す為の物ではございませんよ?」

「爺の言う通りだ。ロベルト、お前は自分の弟を刺そうとしたんだぞ? それがどういう事か理解しているのか?」

いつものパパンと違い、今日は大人ぶっている。ま、本来コレが普通だよね

「ぐっ! だって…だって…」


「みなさん、朝っぱらから血の気が多いですよ? パパンと爺や、あなた達のソレは正論です。しかし、兄さんを見てください。ナイフに食器、グラスと数ある中から、フォークを選びました」

「それがどうかしたのか?」

「イッキ様、この爺も伺いたく存じます」

早くご飯食べたいのに…みんなの手が止まった


「はぁ…いいですか? グラス、食器類はまだ入ってますから、使えばどうなるか大人であれば直ぐわかりますよね?」

大人じゃない、子供だからね…と。

「ああ、そうだな…それは無いな」

「それだけでも、並の子供ではないですよ兄さんはね。次にナイフ。刃引きに近いナイフですが、この中で最も攻撃するにふさわしい物です」

「そうでございますな。でしたら何故ナイフを、お使いにならなかったのか不思議でございますな」

「そう。そこなんだよ爺や。 ナイフをよく見て」

「普通のナイフですな。やや刃引き気味ではございますが…」

手に取りじっくり見る爺


「気付かない? これ振るうより刺す方が威力あるよね? だけど、やや刃引きされたナイフ…子供に刺せるかな?」


「「?!」」

「た、確かに…上手く刺せなければ、握り手が滑って坊っちゃまが逆に怪我をする?…と?」

「流石だね爺や。そして、その前に僕は兄さんを煽っている…

これがどーゆー事か分かるかい?」


「はっ?! 坊っちゃまは、お怒り気味の中、一瞬で最適なエモノをチョイスして、イッキ様に?!」

「分かったようだね…そう。兄さんは戦いの中で重要な要素の一つ "機転" をもっているのさ」


「「「おぉぉっ!」」」

全員の熱い眼差しが兄を見つめた


「え…オレ、そんなん…じゃ…。母上、違っ」

「ロベルト、あなた最高の男ねっ」

ママンの兄を見つめる目に熱が籠る

「7歳にはまだ早いと思ったが…。ロベルト、明日より剣技を教える」

「いや、父上っ。オレはまだ子供ですよっ?!」

兄が慌てて物申す

「だからなんだというんだ? 早くから学ぶことは悪い事ではあるまい」

「ぐ…それはそうかもしれませんが…。だとしたら父上っ、是非にイッキも!」

は?僕にもやれとな?


「何を言っとるんだロベルト。イッキはまだ3歳になったばかりではないか…」

「先ほど父上はこう言われました

『早くから学ぶ事は良い』と。」


兄よ、何を言っとるんだチミは…


「ふむ。イッキの才も気になりはするが…

     そうだな、それもありか…」

やめろーっ。巻き込まないで僕やだよ

チャンバラもスポーツとしては、ハードなんだよ? …こうなれば、よしっ


「イッキよ。お前も一緒に学ぶぅ〜?」

「はっ?! 剣技?僕はねパパン…そのような子供に毛の生えた、お遊びはごめんさっ」


「「「?!」」」


「剣技をお遊びと言っちゃうのイッキ?!」

「お、お待ち下さいっ旦那様! イッキ様は決してその様なつもりで

「黙れ、爺! 親子の会話だぞーっ」


「黙るのはパパンだよ。 剣技を極めたからといって僕が満足するとでも? はっ?!

笑わせるね。パパン、僕を甘く見てもらっては困るな…」

僕の体から邪なオーラが溢れ出す

僕はね…そんな事に時間をかける暇ないの。もっといろんな女体を知りたいんだよ馬鹿どもがっ!


「「な、なんとっ!」」


「だ、旦那様…イッキ様はもしや?!」

「言うなっ爺よっ! 皆の者も一切聞かなかったことにせよ。 …イッキよ、パパが悪かった。ごめーん。お前には何も言う…いや、聞かないよっ」


おぉっ?!どえりゃあ、物分かりが良いではないですか…。心で手を合わせる僕

ありがたやーありがたやー


「あの…オレは?」

「貴様は明日からみっちりシゴく。ロベルト分かったな?」

「そんなぁぁぁ…」

ロベルトはガックリうな垂れた

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