シルバークラスとゴールドクラス
二回目の授業。
シルバークラス 計9名。リンが在籍していると思っていたがどうやら彼女はゴールドクラスのようだ。
ということで見知った顔はいない。13才から18才までの生徒で構成されている。
…18とか俺と2つしか変わらないぞ。なんか気まずい。
それでも仕事だから文句も言ってられない。
先ずは軽く自己紹介。そして例の如く虫眼鏡と紙。
既に火の魔法は全員習得済みらしくやはり微妙な反応。
しかしこれは予測していた。なのでさっさと原理を説明し、次の実験へと進める。
先ほど起こした火、そして食塩、銅、鉛、この世界でも使われていたこれらを用いた実験、そう炎色反応だ。ホントはもっといろんな物質で実験したかったが探し出せなかった。
銅と鉛は同僚の先生に頼んで薄く伸ばしてもらっている。
身体強化の魔法と魔道具という魔力を込めることで性能が上昇したり特別な効果が付与されるハンマーで叩き、割れたら修復魔法で治す。これを繰り返し厚紙ぐらいの厚さにした。
その同僚は疲れ果てて倒れ込んだが
「なぁに、なかなか良い鍛錬になった。トレーニングのメニューに新たに加えても良いかもな。」
と言ってまんざらでも無さそうだったので特に気にする必要はなさそうだ。恐らくドMなのだ。給料が入ったら軽く飯を奢るぐらいでいいだろう。
とにかくそれを小さく裁断し準備完了だ。
小鍋の中で火を起こす。その火の中に食塩を入れる。すると炎が黄色になった。
「あ!!色が変わった!!」
「へ〜不思議ね。」
よしよしなかなか良い反応だ。
続けて銅、鉛もそれぞれ違う小鍋へと投入。青緑、淡い青へと炎の色が変わる。
「凄いな。燃やすものによって色が変わるのか。」
「とても綺麗ね!!」
時間的に原理を説明することは出来なかったがそれは良しとしよう。説明したところで少し難しいからまだ理解出来ないだろう。それは追々でいい。
今回の授業の目的は科学に興味を持ってもらうことだ。それに関しては概ね成功と言って良いだろう。なかなか良い手応えだった。
これで部員になってくれる生徒が現れてくれればいいのだが。
仮に駄目だとしても明日にも初のゴールドクラスでの授業がある。そこでもやれることを全力でやればいい。チャンスはまだあるのだ。
結局その日は部員になってくれる生徒が現れなかった。
どうやらシルバークラスの生徒9名のうち8名が既に何かしらの部活に所属しているらしい。残りの一人を取り込めなかったのは俺の実力不足だ。
翌日、ゴールドクラスでの授業。
年の初めに毎年ゴールド試験なるものがあり、そこで規定の点数以上取ればゴールドクラスとなる。
前年のゴールドクラスの生徒が順当に残り、シルバークラスの中から数人が昇級という形が殆どらしいが稀にブロンズクラスからも合格者が出る事もある。
今年はその“稀”な存在が現れた。しかもなんと入学の年にそのままゴールド試験に合格した。学校創立以来の天才児だ。まさしく神童。
…とドMな同僚が教えてくれた。
俺もそれ天才児だ、やれ麒麟児だと呼ばれ育ってきた。いや、今では大天才へと成長したけどね!!
…とにかく俺はその学校創立以来の神童とやらに親近感とほんの僅かな対抗心(天才というのはプライドが高いのだ。器小っさいとか言わない!!)を抱きつつ 教室のドアを開けた。
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