とある少年との出会い


「ねぇ、大丈夫?」


体を揺さぶられ俺は意識を取り戻した。


ここは何処だ?記憶が曖昧だ。確か完成した時空間転移システムで10分後の実験室に飛んだ筈だが…


ここは外の様だ。雑草の生えた地面が90度傾いて目前にある。


ハッとして俺は体を起こした。


ゴン!!と鈍い音と痛みが頭に響く。何かに勢いよく額がぶつかったようだ。眼が眩む。


「いったぁー!!」


謎の声。


額を擦りながらその声のする方を見てみると10歳くらいの見慣れない格好した少年がしりもちをつきながら同じく額を擦っていた。


「いたた…あ、気がついたんだね。良かったぁ」


どうやら気を失ってた俺を介護してくれていたらしい。


未だに混乱しているのだがとりあえず礼は言わなければ。


「介護してくれてたのか?ありがとう。急に飛び起きて悪かった」


「お兄さんなんでこんなとこで倒れてたの?」


俺が聞きたいぐらいだ。まさかこの天才が失敗したのか?


「ここは何処だ?」


「何処って…カーマ村のはずれだよ。お兄さん何処から来たの?」


カーマ村?聞いたことがない。


「俺は東京から…」


「トーキョー?知らないなぁ、近くにはそんな場所ないし…」


東京を知らない?言葉は通じてるから日本の筈だが…どういうことだ?


「今は西暦何年だ?」


「セーレキ?なにそれ?今は魔法暦217年だけど…お兄さん大丈夫?」


俺は耳を疑った。魔法暦?なんだそれ。魔法って何だ魔法って!!


益々混乱するばかりだ。


「お兄さん歩けるかい?こんなとこにずっといたら風邪引いちゃうよ。とりあえず僕の家まで来なよ。混乱してるみたいだし落ち着くまで家にいていいから」


少し悪いなと思ったが確かに落ち着いて考えを整理したいので頷く。


「ありがとう。悪いけどお言葉に甘えるよ。少し頭の中を整理したい」


少年はニコッと微笑んだ。


「僕はダレン ローリング。お兄さんは?」


「朝倉茶鶴。色々ありがとうな、ダレン君」


いったい俺は何処に来てしまったのか…


歩きながらも俺はそればかり考えていた。

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