充分に発達した科学は魔法と見分けがつかない

to4hero

プロローグ

XXXX年XX月XX日


今日という日は世紀の大天才 朝倉茶鶴という名前を歴史に刻む記念すべき日になるだろう。


遂に時空間転移システム試作第一号機が完成したのである。


これからテストも兼ねて少しばかり未来に行くとする。人類初のタイムトラベルである。




ここまで研究日誌に書き俺はペンを置いた。


齡20にして俺は世界が一変するようなものを作り上げたのだ。


[時空間転移システム] その名の通り物体やデータをあらゆる時代、場所に転移する機械だ。


とはいえ無条件に転移出来るわけではない。


時空間転移システムが存在する時代、場所にしか転移することが出来ない。つまり試作機が一台しかない今現在は未来のこの場所か試作機が完成した今から10分程前にしか転移させることが出来ないのだ。




すでにマウスを使ったテストは成功している。10分前にそこから5分後のこの場所に送ったマウスは今から5分前にこちらに届いた。


次は俺自身が行こう。不安はない。すでに成功しているのだし、俺は天才だ。失敗などしたことがない。


システムを立ち上げ10分後の時間を入力する。ジジジと電気が走る音と共にゲート状の機械の中に空間の穴が空く。


さぁ行こう。人類初のタイムトラベルだ。


俺は大きな一歩を踏み出した。

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