第57話ステータスの違い(+お知らせ)

桜庭先輩が突然消えた。

その事実が段々と俺たちの焦りを生んだ。


「とりあえず手分けして探そっか。一人は紗耶香が戻って来た時の為に残っておいで」


唯花先輩の的確な指示に従って俺は外を探しにホテルを出た。


ホテルを出てまず1番に向かったのは、さっきまでいた砂浜だ。

すると以外にもあっさりとその姿を見つけることが出来た。

俺はゆっくりと桜庭先輩の隣に腰を降ろした。


「さっきぶりだね九重くん。みんなは起きた?」

「起きましたよ、それで急に桜庭先輩がいなくなったってみんな心配してたんですからね」

「ごめんごめん」と少しだけ幼さの残る表情でニッっと歯を見せて先輩は笑った。


その笑顔を見ていると心配しているのもばからしくなってきてしまって、俺も先輩と目を合わせて笑った。


「今日はずいぶんと黄昏ているような時間が多いように感じるんですけどどうかしたんですか?」

「ううん。何でもないよ。心配かけちゃってごめんね?」


俺は少しだけ不思議な感覚を覚えた。

桜庭先輩hが何かを隠しているような。俺たちに悟られまいとしているような。そんな漠然とした感覚を俺は感じた。


「それじゃあ、みんな心配しているでしょうし戻りましょうか?」


俺個人が踏み入っていいところには限度がある。それを踏み越えてしまったら楽しめる者も楽しめなくなってしまうし。


「このあとは花火大会ですからせっかくの機会ですし気分を晴らしちゃいましょう!」

「うん。そうだね」


先輩はこのときどんな表情をしていたんだろう。

花火大会を心待ちにして満ち満ちた表情だろうか?それとも何か心残りのある表情だろうか?

そこで俺は目を背けてしまった。

それが正解だったのかも今はわからない。


◇◆◇



ホテルに戻って桜庭先輩を見つけたことを報告すると、俺は部屋から追い出されてしまった。

追い出されてそして、部屋の前で待っててと言われる始末。

おそらく俺には言えない何かを準備しているんだろう。

ふと窓の外を見ると、ちょうど西日が差し込んでいて、海を綺麗に彩っていた。

幻想的。そう表現するのが一番合っている気がする。

さっきまでは真っ青だった海が今では朱色に変化し、まるで光る宝石のような神々しさを含んでいた。

壮大なその光景に俺は息を飲み、なんでもちっぽけに思えてしまって、大きくため息を吐いた。



しばらくの間、海と黄昏たそがれていると、後ろのドアがゆっくりと開いた。


「お待たせ〜」


後ろを向くと髪を上げて綺麗に彩られた七海先輩が出てきた。


「これは······想像以上に力を入れましたね······。みんなもこんな感じなんですか?」

「多分こんな感じだと思うよ?それでどうどう?私の着物は?」


七海先輩は嬉々とした表情を浮かべて、くるっと一回転した。

先程の水着とは打って変わって露出はほぼない。だけどそこに良さがあった。

というか七海先輩に似合いすぎじゃない?

前々から七海先輩の綺麗な黒髪は和服には合うだろうと思っていたし······。


「はい。とっても似合ってますよ」

「ほんとう!?なら良かった!」


えへへと照れる素振りも隠さずに七海先輩は笑った。

すると七海先輩以外のみんなも着飾った状態で部屋から出てきた。


「よぉ~し!それじゃあ、しゅっぱーつ!!」


そしてぞろぞろと俺たちは歩き始めた。

皆、綺麗に着飾っているとは思うのだが、正直に言うと七海先輩が段違いに華があり美しいと思わざるを得なかった。


ていうか、俺だけなんかみすぼらしくない?



――――――――――――――――――――――――――――――――――

あとがき失礼します。

本当の本当に更新が遅れてしまってすいませんでした。

主な原因は部活です。あとはゲームのし過ぎ……。

とにかくすみません……。


あとカクヨムコン用のプロットがほぼ完成に近づいてきています。

誠に勝手ながらしばらくカクヨムコンに出す作品の執筆にとりかからせてほしく、こちらの更新を止めさせていただきます。

多分半月以上は更新できないと思われます。

本当に申し訳ないです。

期間が開いてしまってもよければこの作品を読んで生かしてあげてください。

失礼しました。


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先輩に誘われて生徒会に入ったんだが、男は俺一人だけ!? らららんど @raraland

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