第48話順調な計画とがたがたの朝

今回はメッセージアプリを複数人で使う描写があるので一応誰が誰であるか明記しておきます。

凜香=小鳥先輩

絢=七海先輩

紗耶香=桜庭先輩

唯花先輩と由都の表記は特に変更はありません。

―――――――――――――――――――――――――――――――

海に行くというのは、夏の数ある内の一大イベントであることは間違いないだろう。

そんな一大イベントをこんな美人達を迎えれる俺は幸せだろう。

俺と由都が計画していた海へ行くという予定だが、1日じゃあ厳しいし、生徒会のメンバーで遊びたいということで、泊まり込みで海へ行くこととなった。

当初予定していた江ノ島に行くのではなく、ちょっとしたリゾート地に行くらしい。

まあまあお手頃なくらいの値段らしく、一泊くらいなら大した負担にもならないそうだ。

ということで今は生徒会のグループメッセージで予定を決める話が着々と進んでいる。

皆、生徒会になるだけあって、判断や決断が早く、あっという間にいろいろなことが決まっていった。

そして、一つだけある問題に直面していた。

保護者をどうするかという問題らしい。

みんな自分の親を連れていくのは思春期だけあって気が進まないらしく、どうすればいいかなと話し合っていた。

すると唯花先輩ののメッセージがトーク欄の一番下に表示される。


『兄ならいるんだけどそれならどうかな?凪くんも男一人だと寂しいだろうし』


兄か……。まあ、一人よりは楽しそうだしいいか。


『大丈夫ですよ!』


皆も唯花先輩の兄ということでそれなりに信頼を置けるらしく、快く了承していた。

そして保護者の問題を解決すると同時に、そのリゾート地までも車で行けるようになり、準備に関して不足はないので、あとは二日間の予定を決めてそれで終わりだ。

二日間といっても一日は海で遊ぶので、決めることと言ったら、二日目にどこを回るかという話だけなのだが……。


凜香:ねぇねぇ。一日目の夜にそのあたりの地域で花火大会があるらしいよ

紗耶香:花火大会!?それは行くしかないでしょ!!

唯花:荷物がかさばりそうだなぁ……

由都:花火大会ですかぁ……。しばらく行ってなかったので行きたいなぁ……。

絢:行こう行こう!!りんご飴食べたい!!


一人だけ欲求に素直すぎる人がいるが、皆満場一致で行きたそうなので、もちろん俺もついて行くことにする。

楽しそうな旅行になりそうだ。



◇◆◇



旅行当日の朝

まだ夏の強い日差しが照り付けない時間に俺は目を覚ました。

町はまだ静寂に包まれていて、街灯の光が窓から射しこんでいた。

時間は……五時か。

普段なら絶対に目を覚まさない時間だが、今日がそこそこ早い時間に集合ということもあって、早めに寝たのが功を奏したと言えるだろう。

ただ早く起きたのはいいのだが、いささか早すぎないだろうか。

だって俺がアラームをかけたのは六時だよ?

ぐちぐち言っても仕方がないので寝ないようにベッドからは降りて、顔を洗いに行く。

もちろん、日和や両親が起きているはずもなく、部屋の中も暗闇と静寂に包まれていてどこか寂しげな印象を受ける。

一日家を開けるだけなのにこんなに寂しく感じるものかとも思ったが、明日にはどのみち帰ってこれるのだ。

寂寥感を感じてても仕方ないのは明白だ。

そんな気持ちは置き去りにして今日は精一杯楽しんでこよう。


さて、俺は何をすればいいんだろうか。

あまりに暇すぎて、いつもは絶対にしない朝ごはんを作ったりするなどの似つかわしくないことをして盛大に失敗するのだった。

まあ、それも一興だろうと思ったのはいいものの、時間がかなり迫っていたので、結局急ぐ羽目になったのだが……。


慣れないことはするべきではないな。

そう思った朝だった。


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