第27話波乱万丈
俺は生徒会室にて、三人の先輩に詰め寄られていた。
詰め寄られると言われてもいかがわしい雰囲気ではなく、何かを問い詰めるような緊迫した雰囲気。
「凪くん?一体紗耶香と何したのかな?」
「さ、桜庭先輩ならきっと快く話してくれると思いますよ?」
「紗耶香はさっき全く口を開かなかったから、無理だと思うよ?」
また説明するのかよ。いろいろと隠しながら言わないといけないから、地味に大変なんだよな······。
そうして俺は昨日の事を彼女たちに説明した。
話している間は、桜庭先輩は机に突っ伏していたけど、耳が真っ赤になっていた。
やっぱ可愛いところあるんだよなぁ······。
とりあえず色々な所を省きながら説明をし終える。
由都や坂口が理解してくれたのだし、このくらいでいいだろうと思っていたのだが······。
「そもそもどうして二人でご飯を食べに行ってるの!?」
「それは、借り物競争で桜庭先輩を借りたからです」
「借りた!?」
「あくまで借り物競争ですよ?」
先輩たちは息を荒げて、問い詰めてくる。
落ち着くことを知らないのだろうか。
ほんとに落ち着いて欲しい。
「納得してください。先輩たちともどの道遊ぶんですし」
「ま、まあ」「確かに?」「そうだね」
「納得しました?」
「「「うん」」」
三人が揃って頷いた。
遊びに行く度にこうならなければいいな。
「あ、でも、待ってよ」
「どうしたんですか?小鳥先輩?」
「あの、投稿はどういう事だったの?」
「それは先輩が初心なだけです」
やっぱり机に突っ伏している桜庭先輩の耳は赤い。
初心だなぁ······。
「ですよね?桜庭先輩?」
「ふぇっ!?あ、ああ。そうだね!!」
桜庭先輩は勢いよく顔を上げてそう言った。
顔真っ赤。他の三人はどんな反応をしているのだろうか。
俺は先輩たちの方を見ると、ジト目を俺にむけてきていた。
「な、なんですか?」
「凪くん······。やっぱり一発やったんでしょ?」
「やってないです!!本当に!!」
先輩たちは俺から視線を外して、真っ赤な桜庭先輩を問い詰める。
「ねぇねぇ紗耶香。やっちゃったんでしょ?」
「ややや、やってないぞ!うん!」
声も完全に上擦っているし、テンパりすぎだ。
むしろそれが演技だったら役者になった方がいい。才能の塊だぞ。
先輩たちは顔を見合わせて、コクリと首を下に振り、俺の方にじわじわと歩いてきた。
「せ、先輩?な、なんですか?」
「··················」
先輩達は何も喋らない。
「ちょっと凪くん?ズボンを······」
「下ろしませんよ!?それどころか今すぐ逃げ出しますよ!?」
「まっさか〜冗談だよ?」
いや、先輩たちの目はマジだった。
あれは獲物を前にした獣の目。
俺にはそう思えた。
ある程度弛緩した空気が流れたところで、俺はやっと席に着く。
すると唯花先輩と小鳥先輩が隣にすぐ座ってきて、七海先輩はアタフタとしていた。
「えーっと。どうしよ······あっ!」
何かに気がついたような声を上げると、七海先輩は俺の方に寄ってきて、そのまま膝に座った。
軽っ。柔らかっ。
「えっと······七海先輩?」
「ん?凪くんどうしたの?」
「どうして俺の上に?」
「隣が空いてなかったから?」
なんで疑問形なんだ。
まあそんなことはどうでもいい。
気になるのはこの状況だ。
このままでもいいとは思うが、それは俺の邪念だ。何とかして七海先輩にどいてもらわないとならない。やっぱりどいて欲しくないけど。
「七海先輩、さすがにどいてくださいよ」
「むぅー凪くんのけち。膝くらいいいじゃん」
いやダメなんだよ。主に俺の理性がダメになるんだよ。
そうだ。無理やりどかすんじゃなくて、脅せばいいんだ。
「先輩。ずっとそのままでいると後ろから抱きついちゃいますよ?」
「あ、うん。大丈夫だよ」
違う。そうじゃない。
俺が求めてるのはそんな反応じゃないんだよぉ!!
その後も策を練って何度も実行に移したが、先輩の天然さの前には敵わなかった。
しまいには「凪くんは私が上に座ってるの嫌?」と言われてしまった。
嫌じゃないです。もうずっとそこにいてください。
俺が足が痺れたと呟くと驚くほど簡単に七海先輩はどいてくれました。
最初からそう言えばよかった······。
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