第20話最高の妹
久々に訪れた休息のとれる土曜日。明日は桜庭先輩とご飯を食べに行くことになってしまったから今日はたっぷり休むと決めているのだ。
時間はもう十時ごろだというのに俺まだベッドの上でゴロゴロとしていた。
――ドンッドンッ
俺の部屋の扉を強くたたく音。その音の発生源は何となくわかる。おそらく……。
「にいに!いつになったら起きてくるの!?お母さんもう仕事に行っちゃったよ!?」
妹の日和だ。まだ中学二年生だというのに俺よりもしっかりしているよくできた妹だ。ちなみに俺はシスコンではない。断じて。
「ごめんごめん。ちょっと体育祭で疲れててさ」
「そんなこと言って大したことしてないんでしょ?はぁ……朝ごはんで来てるから一緒に食べよ」
大した競技に出てないのばれてた……。
「あと五分……」
「そんなバカなこと言ってないで早くいくよ!」
俺は仕方なく体を起こし、リビングに降りていく。
「お~うまそうだな。全部日和が作ったのか?」
「まあね、にいにのために作るのはなんだか嫌だったけど」
「そうか、ありがとな」
俺は素直にお礼を述べて日和の頭を撫でた。
「さ、触るなっ!」
怒ってるのか照れてるのかは知らないけど顔が赤くなっていた。
怒らせると日和は口をきいてくれなくなるのでここで引き下がることにした。
今日の朝食は白飯に鮭、みそ汁。野菜がないのはきっと日和が野菜嫌いであるからだろう。
お肉大好きな日和はいつもたくさん食べるのになぜか太らない。胸にも大していかない。恵まれてそうで男子目線ではあまり恵まれていないスタイルをしている。
日和は胸がないことを気にしているらしいが、それをとっても余りあるかわいさがあるので大丈夫だろう。あれ?俺ってシスコンじゃね?
自分の頭の中のログを見返してみる。
あっ……。俺シスコンかもしれん。日和大好き。
俺は若干嫌われてそうなのがつらいところだが……。
「にいに?箸止まってるよ?おいしくない?」
「そんなわけない。めちゃめちゃおいしいよ。ちょっと考え事をしてただけ」
「へぇ~どんな考え事?もしかして彼女さんができたとか!?」
「できてないよ」
「ちぇ~にいにはもうちょっとコミュ力があればよかったのにね~」
ほんとにそう思う。なぜ神様は俺にコミュ力なるものを授けてくれなかったのだろうか。コミュ力さえあればすでに彼女の一人や二人くらい……。いるところが想像できませんでした。
なんだか泣きたくなってくる。
俺は一体いつになったら彼女ができるのだろうか。明日桜庭先輩にでも聞いてみるかな……。日和に聞くのは普通に恥ずかしくて聞けない。でも桜庭先輩に言うのもなんだか安心できない。なら唯花先輩か七海先輩だな。この二人ならまだ安心して聞ける。
そして気づくと俺の茶碗に入っていたご飯は綺麗になくなっていて、おかずもきれいに食べ終わっていた。
ずいぶんと長いこと考えていたみたいだな。
「ごちそうさまでした。食器は俺が洗っておくよ」
「ありがと!それじゃあ運んでおくね」
そういって日和はせっせと動き始めた。
言ってもいないのに自分から行動してくれるなんて……。
日和はやっぱり最高の妹だ。
―――――――――――――――――――――――――――
あとがき失礼します。
昨日更新をさぼってしまって申し訳ないです……。
部活で疲れて寝落ちしてしまいました。
申し訳ない話なのですが昨日はお休みとさせていただいて、今日はこれ一本だけになります。楽しみに待っていいただいていた人たち。申し訳ない……。
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