第6話桜庭紗耶香
五月も後半となり皆テスト終わりの疲れを見せていた。
生徒会に入っている緊張感からかいつもの数倍は勉強に力を入れて行った。
するとうまく結果もついてきて学年で一桁の成績をとることができた。
テスト後はテスト返しの授業がほとんどだが、移動教室などして、普通に授業を行う先生もいる。
運悪くその先生の授業で俺たちのクラスの生徒は、二年生の階を歩いていた。
すると、定期テストのTOP50の生徒の名前が張り出されていた。
一位――桜庭紗耶香
桜庭先輩が一位。
その表示を見て、あの唯花先輩よりも高い点数を取って言いることに驚く。
中学の時は唯花先輩が一位を取っているところ以外見たことがなかった。
その唯花先輩の順位は三位。
二人の間にある名前は全く見たことのない先輩のもの。
俺は時間が迫っているのを見て、歩くを速めて授業へ向かった。
◇◆◇
四時間目が終わり学食へ向かう。
何を買おうかと思案していると、後ろからさばさばした感じの声が聞こえた。
「何買おうかなぁ~」
「うわっ!って桜庭先輩ですか......」
「うわってひどいなぁ......傷ついちゃったなぁ~」
「そういえば、定期テストの見ましたよ。一位おめでとうございます」
「ああ、ありがと。九重君はどうだった?」
「俺は六位でしたよ」
「おお、すごいじゃん」
手をぱちぱちと叩きながら祝ってくれる。
皮肉にしか聞こえない......
「点数はどれくらいだったんですか?」
「10教科で1000点満点中989点だよ」
え......ほんとに人間?
「あ、今失礼なこと考えたでしょ」
「か、考えてないです......」
勘も鋭すぎるって......
「は、早く頼みましょうよ。時間なくなっちゃいますから」
「それもそうだね」
俺は素うどんを頼み、桜庭先輩も同じものを選んでいく。
おばちゃんから器を受け取り、それをトレーに乗っけて、適当に空いている席に座る。
「どうしてそこに座るんですか......」
「私と九重君の仲じゃん?」
俺と桜庭先輩との間にどんな仲があるというんだ......
それから俺と桜庭先輩は特に話す事のないまま黙々と食べ進めていく。
「意外と話す事ってないんだね......」
「俺たち出会ってせいぜい三週間ですよ?そんなぽんぽんと話題が出てくる方がおかしいですって」
「じゃあ唯花と九重君の馴れ初めを聞かせてよ」
そんなことで良いのかと思いながらも話題が出るのならいいかと思い、話し始める。
「初めて話したのは生徒会に入ってからでしたね。最初は先輩の方から気さくな感じで話しかけてくれて、それからだんだんと話すようになった。よくよく考えたらそれくらい?ですかね」
「それだけ?つまんなーい」
桜庭先輩は頭の後ろで手を組んで背もたれに体重を預けている。
「今度は桜庭先輩と唯花先輩のも聞かせてくださいよ」
「私はね~去年同じクラスで、唯花がすっごい不機嫌な顔してたからウザがらみし続けてたらいつの間にか仲良くなってた」
なんか想像できてしまいそうなその光景にクスッと笑ってしまう。
「なんだよ~」
「いや、なんか想像できてしまいそうで」
「確かにね」
そして二人で笑っていると、授業五分前の予鈴が鳴って、急いで教室に帰った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます