第5話小鳥先輩
生徒会室は静寂に包まれていた。
その理由は小鳥先輩と俺の二人っきりでこの生徒会室にいるからだ。
小鳥先輩は不機嫌そうに足を組みながら、スマホをいじっている。
この空気はとても居心地が悪くて、何もない教室の後ろに視線を向ける。
そして、早く誰か来ないかと祈るが、一向に来る様子がない。
「ねえ」
「は、はいっ!」
いきなり話しかけられて体がびくっと反応する。
「いきなりどうしたのよ......」
「いきなり話しかけられてびっくりしちゃって」
「はぁ......ま良いけど。でさ、私ってやっぱり絡みずらい?」
思わぬ方向からの質問が飛んできて、少しだけ拍子抜けしてしまう。
「ま、まあ特徴的な髪色ですし、少し絡みずらいとことはあるんじゃないかなとは思いますけど......」
小鳥先輩はもみあげ当たりの髪をいじりながら神妙な表情を浮かべる。
「やっぱり黒に戻そうかなぁ......」
「先輩は桃髪いやなんですか?」
「いや、髪染めが良いって聞いてこの高校に来たのはいいけど実際染めてる人ってあんまりいないし、浮いちゃうんだよね」
さすがに最初に俺が見た時も、異質な存在感を放っているとは思っていたけれど本人がそれを気にしているとは思っていなかった。
それで悩んでいる先輩が少しかわいく見えた。
「別に無理して戻さなくてもいいと思いますよ、俺でよかったらいつでも相手になりますよ」
「ほんと!?いつでもいいの?」
小鳥先輩は嬉しそうな表情を浮かべて、机に乗り出してくる。
その勢いに押されて俺もうなずく。
「も、もちろんです」
「じゃあさラインとかも交換しない?わたしこんなギャルっぽい見た目してるけど友達とか全然いなくてちょっと憧れてたんだ~」
ギャルっぽいっていう自覚あったんだ......
七海先輩といい小鳥先輩といいギャップがありすぎるなと思いながら、俺はスマホを取り出す。
小鳥先輩に渡すと、あっという間にスマホが返ってきた。
「は、はや......」
「ふふん、はやいでしょ」
胸を張ってどや顔で自慢げに言ってくる。
その体勢めっちゃ胸が協調されて......やばい。
「そ、そんな威張れることじゃないですけどね」
俺は視線を下げながらそう言う。
スタイルだけ見れば小鳥先輩はモデルレベルだ。
改めて見ると、意識せざるを得なくなる。
白く透き通った肌に大きな二つの双丘。
それなのに、気太りしているようには見えない。
腰回りは引き締まっていて、官能的なものを想像させる。
エロすぎるだろ......
「そ、そんなにじろじろ見ないでよ......恥ずかしいじゃん」
口元に萌え袖状態の手を持っていって照れている。
やばい......かわいい。
そんな感想しか出てこなくなるほど、彼女から目が離せなくなる。
スマホを覗き、追加された彼女のアイコンを見て心が高鳴る。
「す、すいません......」
赤くなっている小鳥先輩はうぶそうでなんだか自分よりも小さい子を見ている気分になって、それが俺を押さえつけていた。
変な気を起こしちゃだめだ......
正直こんな先輩と隔離された生徒会室で二人きり。
まるでラブコメみたいな展開だ。
すると、俺に助け舟を出してくれたかのようにスマホがなった。
ラインの通知だ。
その通知をタップしてトークルームに飛ぶ。
『これからよろしくね』
小鳥先輩からのラインだった。
視線をあげて小鳥先輩を見る。
目が合うと、小鳥先輩はピンクの唇を薄く広げて蠱惑的に笑った。
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