第2話顔合わせ
重苦しい空気が流れる。
そんな中口を開いたのは唯花先輩ではなく、その隣に座る名前も知らない人だ。
「九重くん、だっけ?むしろあなたが入ってきたことに私たちが驚いてるんだけど......」
「え?生徒会に俺が入るのっておかしいことでした......?」
俺も彼女達も完全に困惑してしまっている。
そして、唯花先輩が席から立ちあがった。
「新生徒会の顔合わせを始めます」
「「「「「は?」」」」」
「......なぜみんなそんな目で私をみる......」
すると先程俺に話しかけてきた先輩が唯花先輩に言い放つ。
「ゆいか?せつめいは?」
その笑顔を見て俺は直感的に彼女を怒らしては行けないと察す。
唯花先輩もその笑顔に顔を引き攣らせていた。
「は、はい......」
そして、その先輩の顔を伺いながら喋り始める。
「えっと、凪くんは私と同じ中学で、生徒会を共にした事があったので誘いました」
「ほんとにそれだけ?」
「そ、それだけです......」
あの二人だけは上下関係が逆転しているように見えた。
「でもそれだけで唯花が男を生徒会に誘うとは思えないんだよね。鉄壁の立花とまで言われてたのに......」
「て、鉄壁?どういう事ですか?」
中学の頃には鉄壁なんて言われていると聞いたことなんてなかった。
だからこそ気になる。
先輩はニヤニヤとしながら、口を開こうとする。
唯花先輩は焦って先輩の口を塞いだ。
「い、今それはいいでしょ!お、お願いだから言わないで、さやかぁ」
あたふたと慌てる唯花先輩は子供っぽくて普段の喋り方とのギャップがすごくてあの二人以外は皆困惑していた。
何とか事が収まってやっと顔合わせが始まった。
そう言ってもやることは自己紹介くらいだ。
「えーじゃあ私からね、皆知ってると思うけど立花唯花です。よろしくお願いします 」
五人分の小さな拍手が起こる。
次は先程、唯花先輩と仲良さげに話してた先輩だ。
「
次に立ち上がったのは長く綺麗な黒髪が特徴の女の子だ。
「えっと、
ぺこりと勢いよく頭を下げた。
今度立ち上がったのは桃髪が特徴的な、ギャルっぽい彼女。胸も唯花先輩に負けず劣らずの大きさだろう。
――俺、なんか変態っぽくね......
「
ついでに無愛想がつくようだ。
次は俺の隣に座る短めの髪に付いた二本のピンクのヘアピンが印象的な女の子だ。
少しだけ目元はキリッとしていて、視線がキツい。
「
俺と同じ一年生のようだ。
そして、俺の番が来る。
女の子の視線だけっていうのはとても居心地が悪い。
「
至って普通の挨拶を終えると、隣の蓮見さんと目が合った。
俺が首を
「こほっ!」
唯花先輩が空咳を鳴らす。俺は急いで座って蓮見さんも唯花先輩の方へ身体を向けた。
「まあ、今日は他にやることがないので終わりにしましょう。解散!」
まず一番最初に立ち上がったのは佐伯先輩だ。
他の先輩方も続々と立ち上がって俺も立ち上がろうとする。
――ちょんちょん
二の腕の辺りをつつかれる。
「ん?どうしたの蓮見さん?」
「えっと、一年生同士、一年間よろしくね、あの、ここのえって呼びにくいから凪くんって呼んでもいいかな......?」
「あ、うん。いいよよろしくね?ゆ、ゆづさん?」
「うん!よろしくっ!なぎくん!」
やっぱり笑う時の彼女の目からは視線の強さはなくなっていて柔らかくなっていた。
――あ、どうして俺以外が女子なのか聞き忘れた。
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