先輩に誘われて生徒会に入ったんだが、男は俺一人だけ!?
らららんど
プロローグ〜二年越しの再開
事の始まりはまだ桜が咲いていた五月の頃の話だった。
俺の通っている
そこで俺はある一人の女子生徒の名前を聞いて耳を疑った。
「生徒会長候補、二年、
聞いた時はただの偶然だろうと思っていた。
けれど、壇上に上がる彼女の整った鼻梁を見て確信した。
彼女は俺が中学の時、初めて生徒会に入った時に生徒会長を務めていて、生徒会として同じ時を過ごした人。
「私、立花唯花に清き一票をお願いします」
彼女の演説によると昨年度も生徒会役員を務めていたらしい。
そして、残り二人の演説を終えるとあっという間に解散となった。
生徒会役員は投票にかかる労力なども考えられて、生徒会長が任命するという。
俺はスマホを取り出して、LINEの友達欄を下にスクロールしていく。
『yuika』
あった。
大きなピアノのアイコンにしている彼女を見つけた。
俺がトークルームを開くと、表示されるのは約二年前に彼女の卒業をお祝いするメッセージ。
俺は思い切って二年ぶりのメッセージを送った。
『お久しぶりです!
一思いに送信ボタンを押す。
教室に戻ると、投票用紙を配られ、俺は迷わず『立花唯花』に丸をして投票した。
すると携帯のバイブが鳴り、俺にメッセージが届いた事を告げてくる。
『九重くん?あの生徒会の......?少しだけ話をしたいから放課後一緒に帰らない?場所は校門前。帰りの
俺はスタンプで『了解!』と送った。
「なぎくん!久しぶり!!」
「お久しぶりです。二年ぶりですね!」
先輩が喋るだけで、周りからかなりの注目を集めている。
しかし、少し気になることがある。
その視線を俺たちに向けた人は必ずと言っていいほど驚いたような表情を見せていくのだ。
先輩はそんな事は意に留めずに嬉々とした表情で話し続ける。
「随分背伸びたね......160台だった可愛いなぎくんはどこに行ったの......?」
「成長期ですからね、そりゃ伸びますよ。先輩は変わりま――いや、うん。唯花先輩も変わりましたね」
「そうかな?」
そうだ。なぜなら女の子が持つ二つの山は他の子に比べて確実に成長していた。
「ねぇ?」
胸に視線を向けていたのがバレてしまったのかと思い、急いで視線を上げる。
「な、なんですか?」
「もし私が会長になったら凪くんが会計として、生徒会に入らない?」
とても嬉しい提案だった。
また、先輩と生徒会で一年を過ごす事が出来ると思って、俺は快く了承した。
◇◆◇
選挙の結果は先輩の圧勝だったらしい。
そして、晴れて俺の生徒会入りも決まったわけだ。
今日は新生徒会の顔合わせだ。
先輩以外の人には誰にも会ったことがないと思うから少しだけ不安を抱えている。
普段はあまり使われない特別棟に足を運ぶ。
俺の上履きが廊下のタイルを叩く音がうるさくて揺れる鼓膜が俺の緊張を緩和してくれるようだった。
そして、生徒会室と看板のかかった教室の前で数秒立ち尽くして、コンコンとノックする。
「どうぞ〜」
「失礼します」
入ると他の会長含めた五人は既に席に着いていて、俺を見るなり唯花先輩に質問を投げかけた。
「ゆ、唯花?お、男なんだけど......?」
確かに男ですけど......。
困惑している唯花先輩を除いた生徒会メンバーと俺。
その空気を断ち切ったのは唯花先輩だ。
「彼は確かに私が誘いました。いらっしゃい九重凪くん。新生徒会へ」
「あ、はい。ありがとうございます。でも、一ついいですか?」
「うん。遠慮せずに言って?」
「どうして男、俺一人だけなんですか!!??」
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