第一の死体

 最近このおっさん毎日店に来やがる…。暇なのか?

 「…聞こえておるぞ?今に限って言えば、そこな店主が増やした仕事の後処理で暇などない」

 なんだつまりアレか?ここに何か仕事を後回しにしてでも来なければならない理由か用事でもあるってのか?

 「ほぅ?なかなかきれるではないか」

 大げさに驚いたような表情を浮かべたロンド公爵は、ゆっくりと店主の前に詰め寄る。

 「そろそろやめないか店主。いや、この話題を口にしたのだからこうお呼びすべきだろう。故アーネスト王国第一王女、アリア・メリオロッサ殿」

 「不敬であろう?ダグラス・フォン・ロンド。我が威を借りてその位に収まったかりそめの権力者よ」

 …おいおい?なんだって??ついて行けねぇ…。

 そういってしゅんとうなだれるオイラ、かわいい…。

 「すまない、今はまじめな話の最中だ、後にしてもらえるか?」

 「して、一塊いっかいにんげんにすぎないダグラス。お前は余によもや悲願の達成を諦めろと言ったわけではあるまいな」

 くぅ…店主に関しちゃオイラのことフル無視だぜ!かっこいいぜ!!

 「然り。私は殿下がこれ以上そのお手を穢してしまう前に、どうか亡き国王陛下のための復讐をやめていただきたいとそう申しました」

 …復讐?店主なんか恨みでもあるやつがいんのか?

 「…ダグラス、お前まで私を置いていくつもりか」

 「申し訳ありませぬ殿下。それがわたくしめに課せられた責務でありますれば」

 「…よい、ダグラス貴様は今この時を持って永久追放とする」

 「殿下、お気を付けください」

 「分かっている、みなまで言うな。お前は先に楽になれ」

 だめだオイラ本格的についていけねぇ…。

 「黙っていればさっきからうるさいですね。お前もロンド公爵とともに逝きたいの?」

 オイラは慌てて首を横に振ったんだ。そんなオイラかわいい…。

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