第十八の屍・下

 店主…。あのものは気づいていないのか?

 ロンド公爵すらいなくなり、本当に誰もいなくなった店内に小指さんの声が響く。

 「あー、ロンド公爵ですか?どうなんでしょうねぇ…あながち気づいているかもしれませんし、そうではないかもしれませんね」

 ふむ…。気づいていないというのであればいささか酷な話だと思ってな。

 「まぁ、確信はなくともだいたいそうなんじゃないかって予想ぐらいはしてそうですが…」

 予想?

 「えぇ、以前もお話ししたのさらに詳しい部分の話が必要にはなりますが」

 ふむ?

 「あなたたち屍の声は、人間にも聞こえます。ただ、死期が近い者、すでに死んでいる者。そのどちらかであることが条件です」

 なるほど…つまり…。

 「このことを公爵に説明した覚えはありませんがね…。まぁ、小指さんが気づいてしまったぐらいです。改めての説明など不要でしょう。そう、ロンド公爵はあなたたちと同じ、活きのいい屍…というわけです」

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る