第十七の屍・表

 「店主、第二王子殺害犯が見つかったらしい」

 店に入るなり、静かにキセルで一服していたロンド公爵は、普段とは違った真剣な顔でおもむろに口を開いた。

 「…よかった…という感じでもなさげですね?」

 こちらはいつも通り、昨日の朝刊に目を通したまま返事をする。

 ロンド公爵は店主をじっと眺め、再び口を閉じ、左手であごひげをさすりながら何やら考え始めてしまった。

 そうしてどれぐらいたっただろうか。ロンド公爵はためらうように再び口を開いた。

 「…単刀直入に聞こう。店主、この件に関わってはいないかね?」

 「…といいますと?私に殺害犯と何らかのつながりがある。ということでしょうか?」

 いつもと変わらぬトーンでそう口にする店主。いいしれぬ違和感しかないそれを、しかしてロンド公爵は飲み込むに至った。

 「…まぁ、そんなわけないでしょうな。犯人は美しいあおあかのオッドアイをしていたというからなぁ」

 そういって踵を返し、左腕を持ちあげ、ではな、と言い残し店を後にした。

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