第十一の屍・下

 ロンド公爵を見送った店主は、1人地下へと降りていきました。

 まるで冥界に足でも突っ込んだかと思うほど、ぞっとする寒さに包まれた地下には、地上と全く同じ内装をした、埃をかぶっただけのベルモント活きのいい屍専門店がありました。

 誰もいないベルモント活きのいい屍専門店の中で、店主は口を開きます。

 「溶かした追跡者ストーカー血昌けっしょうでラミアの舌を煮込んでほしい。頼める?」

 もちろんそれに返事を返すものはいない。

 だが、店主は満足したとばかりに笑みを浮かべ、くすくすと笑い始めた。

 「ラミアの舌にはちゃんとお守りとしての効果がありますし、嘘はついていませんよ。…えぇ、利用しないとも言ってはいませんがね。あらかたこの国の王子か何かへの貢ぎ物でしょう。私のシナリオの上で踊っていただきましょう」

 すべては私のために…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る