第十一の屍・上

 「店主、まじめな相談なんだが聞いてはもらえぬか?」

 これが公爵としての彼の顔なのだろう。きりっと引き締まった空気をまとい、ロンド公爵は新聞に目を通していた店主に声を掛けた。

 「…何でしょうか。人を殺めてしまったので引き取ってほしい。そう言ったご要望でしたらお断りいたしますが」

 「いや、そういったたぐいの話ではないのだ」

 「ではいかようで?」

 「うむ、つい先日私がひどい目にあった火龍の逆鱗があったであろう?確か女性用のお守りだと聞いた覚えがある」

 「えぇ、まぁ少々強すぎたがために廃棄いたしましたが」

 「あそこまで協力である必要はないのだが、男性用のお守りがあれば譲ってほしいのだ」

 「…ふむ?まぁ、よほどの事情があるご様子。また明日出直していただけますか?金貨5枚でよろしければ、そのときは裏口からいらしてくださいませ」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る