第七の屍

 女の口説き方なら俺に任せな。

 そう自信満々に語りかけてきたを俺は買った。

 生まれてこの方、女にまったく縁のない俺としては、この出会いは運命だと思った。

 まずはお前が好きな女がどんなやつか教えてみろ。

 俺は幼馴染のエルのことを話した。昔から俺の後ろをついてくる妹の様なやつだ。

 なるほどな…。よかったじゃねぇか。そいつお前に惚れてるね、間違いない。一回押し倒しちまえばなし崩しよ。

 そうだったのか…。俺はその言葉を信じた。

 「なぁエル、お前俺のこと好きなんだろう?」

 「えっ?…嫌っやめて!離して!!」

 最初は嫌がるかもしれねぇが、嫌よ嫌よも好きのうちってな。

 そういわれたのを思い出した。

 「そんなに暴れるなよ、ほんとは嫌じゃないんだろ?」

 「…嫌!…やめて、あんたなんか嫌い!!」

 …え?…今なんて?

 呆然とした俺を残し、エルは服をおさえて走り去っていった。

 「…俺、何か間違えたのか?」

 そういってを見た。

 うーん、女心って難しいなぁ。ま、俺も初めてだったんだよ。許してくれや。

 そして理解した。この、しったかぶりの膝蓋骨しつがいこつに頼った俺が馬鹿だったと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る