第六の屍

 ベルモント活きのいい屍専門店。

その店は扱う商品が屍とあって、傷みにくいよう、立地の悪いところにある。日は当たらず、人よりもネズミの方がよく出入りしている、そんな場所だ。

 「いや、お金がなかっただけだからね?」

 そんな場所にある理由はほかにもある。

 ここの店主は客を選んでいるのだ。

 「いや、誰でもちゃんとお客として接するからね?」

 表通りに店を構えるとなると、とんだミーハーどもまで押し寄せてしまう。

 「…うちの客、大半ミーハーなんだけど」

 中でも許せないのは男どもだ。女とみるや色目を使い、店主をいやらしい目つきで眺める。非常に遺憾である。

 そこでここ、ベルモント活きのいい屍専門店では男どもを根絶やしにすると、方針を固めた。

 「いや、そんな話知らないんだけど」

 「やぁ、店主ごきげ…」

 死ね。

 「あああ、危ないではないか!!?」

 ちっ、死ね。

 「て、てて店主!これはいったい!?」

 「即死魔法を呟く火龍の逆鱗です。…男性限定で」

 さっさと死ね。

 「ひぃいいいいいぃぃぃぃぃ!!」

 「…女性用のお守りとして仕入れたのですが。どうやら少々強すぎたようですね」

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