その③
***
夕食を終えて、王子三兄弟は応接室にて
国によっては、王位
ゆったりとした布張りのカウチソファーが、テーブルを囲むようにして置かれており、王宮内の応接室にしては、品は良いが
王宮の人目のある部分は
だから王族の居住エリアは他と違って、品良く落ち着く空間となっているのだ。
「ウィル兄さぁ、婚約者を一番地味で、
質問の内容に
「誰からそれを聞いた?」
その事実を知っているのはリリアーナ(と彼女が話した者)だけである。
「いや、今日王太子妃教育に来てたウィル兄の婚約者にバッタリ会ってさ」
「ほう? 確かホセは両家の顔合わせで一言も口を開いていなかったな。いつの間に、そんなに親しく会話を交わすようになったのだ? ん?」
「え、いや、その……」
ウィリアムの様子が変わったことに気付き、ホセは質問の仕方を
そんな弟に、表向きは心配そうな目を向けるオースティン。
微笑みの王子様などと呼ばれてはいるが、実は一番腹黒……
完全に表の顔と裏の顔を使い分け、両親や婚約者にすらも裏の顔は見せないという
なので今、侍従がいるこの応接室では、表の顔を見せている。
「兄上。婚約者とはうまくやっていけそうですか?」
オースティンの台詞に少し考えて、ウィリアムは答える。
「そうだな、リリアーナといると
侍従がハーブティーを淹れ終えたタイミングで
「ウィルが女性といて退屈しないだなんて言う日が来るとは思いませんでしたね。一体どんな話をされているので?」
裏の顔の時は、兄上ではなくウィルと呼んでいる。
「どんな話と言われてもなぁ……。まだ一度しかまともに話せていないからな。そういえば鼻毛の話をされたな」
「「鼻毛?」」
「ああ。リリアーナがダニーに大笑いされたのを
「それはまた、随分と地味な
「私もそう言ったのだが、鼻毛を
「ダニーに笑われた理由も気になりますが、何ともまあ随分と変わったご令嬢ですね」
何と言ったらいいのかというようにオースティンは
「でも、ウィルは随分とそのご令嬢を気に入っているようですね」
「ああ、女はもう信じないと心に決めていたが、何というか、彼女を見ていると小動物を
思いのほかウィリアムは彼女に
ウィリアムは婚約に前向きなようだが、ホセは彼女がいまだ婚約解消のチャンスを
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