その②
***
「……どうしても行かなければいけませんの?」
困ったように
実はこの三日間、何とか婚約話をお断りするすべはないものか、色々考えてはみたものの、全くいい案が浮かんでこなかったのである。
一度婚約が確定してしまえば、余程のことがない限りこちらから破棄することはまず無理であろう。
ということは、だ。
本日の登城で何とかそれをなかったことに出来なければ、リリアーナは次期王太子の婚約者になるということだ。
王太子
この国に限らず王太子の婚約者は、成人前までに決められることがほとんどである。
それというのも、将来王妃になるためには十年以上掛けて『王妃教育』なるものを受けなければならないためである。
けれども、王太子にほぼ決定している第一王子ウィリアムはもう二十三
ウィリアム殿下が成人しているということは、
……なんて面倒くさい!
しかも王宮での
激しく登城したくないと思ってしまうのは、仕方がないですわよね?
「リリ? 国王陛下より
「
オリバーから丸投げされたモリーは手をワキワキさせながら、とても
「ちょっと、モリー? あなた私の味方ではなかったんですの? その手は何? やめっ、来ないでっ、ニャァァァァァアア……」
リリアーナの叫びは
王宮のとある一室にて。
モリーによって可愛らしく変身させられたリリアーナを
「ウィリアムは仕事が片付き
(ええ~っ! なぜ来るんですの?)
心の中でがっくりと首を垂れるリリアーナ。
王族側とヴィリアーズ家側の温度差がかなり感じられる程に、国王と王妃はニコニコとご機嫌であり、ヴィリアーズ家は複雑そうな表情をしている。
国王の言葉に「近いうち
色々と言われても一体何を話せばよいのか。
余計なことを言ってしまいそうで言葉が出てこないリリアーナに代わり、オリバーが仕方なく口を開く。
「リリアーナは三人おります子どもの中で
言葉を選びつつも『だから王太子妃は務まりませんよ』アピールをしてみるのだが、国王と王妃は全く気にする
「ウィリアムがカチカチの
そう国王は楽しそうに言う。
王妃は可愛い女の子が
……王子ばかりではあったが末っ子の『天使様』と呼ばれるホセ殿下の愛らしい姿に
けれども、ある時からホセ殿下が全力で
そこまで拒否されてしまっては仕方がないと、一度は諦めた王妃だったが。
お茶会に、ある伯爵夫人が
「義娘達と一緒にお買い物したり、お
王妃はとても楽しそうに満面の笑みを浮かべた。
リリアーナは、どんどん
国王様と王妃様がダメなら、当の本人であるウィリアム殿下に
どうにかして婚約者の座を他のご令嬢に
ニコリともしない顔は、整いすぎている分余計に冷たい印象を
そして来たばかりのウィリアム殿下に向かって、王様が何を血迷ったのか
「後は若い者同士で話をした方がいいだろう? ウィリアムよ、リリアーナ嬢をお前の部屋に案内してやるといい」
この氷男と二人きりとか、一体どんな
……と
……うん、それがいい!
「よろしくお願い致します」
そう和やかに笑顔で言えば、殿下は
「ついてこい」
リリアーナは
本来は小走りだなんてはしたないことを令嬢はしないのだが。
この王子様、私のために歩調を
そう言ってやりたいのを我慢して
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