第2章 リリアーナ、婚約回避に奮闘する
その①
馬車から降りてきた我が子の姿を見て、ヴィリアーズ家当主であるオリバーは大変
訳が分からず、とりあえず話を聞くために応接室へと場所を移すことにした。
オリバーと妻であるジアンナが顔を見合わせ首を
「二人とも
『王子様』と『変な虫』の部分で二人が明らかに
「何? 本当に変な虫でもついたりしたの?」
ゆらりと立ち上がり、イアンを眼下に圧を掛けている。
イアンは
「……すまない、これ以上ない程にデカすぎる虫がついた」
「はあ? どういうこと? ちゃんと説明しろよっ!」
エイデンは聞くが早いかイアンの
「エイデン、落ち着きなさい。それではイアンも話せないだろう?」
そこでようやくオリバーが
「これでちゃんと説明出来るようになったな。話せ」
イアンがホッと
***
「三日後に当主と共に登城するように」
目の前には国王と
「三日後……ですか?」
「そこで正式に
国王の言葉に思わずリリアーナは固まる。
「ま、まず持ち帰って当主である父と相談しまして……」
そうイアンが言いかけたところで、何も聞いていない風を
「三日後、正式に婚約を決定する」
これは断ることは許さないと言外に言っているやつですね。
イアンとリリアーナの返事は「はい」の
「……というわけで、無理矢理でも何でも、初めて『氷の王子様』が選んだ相手ということで。国王様と王妃様は、リリアーナを何としてもウィリアム
そう言ってイアンは口を閉じた。いや、閉じざるを得なかった。
貴族社会というものは
ましてや今回は、お相手が王子である。
いくら歴史の古い
「……リリアーナは余程目立つことでもしたのかい?」
今日は地味目の装いで行かせたはずで、いくらリリアーナが
余程目につくような何かをしなければ、王子様の目に留まることなどなかったのではないのか。
そんな疑問が
「お父様に言われました通り地味に目立たぬよう、
リリアーナは悲しそうに目を
「姉様? ドレスがどうのこうの言う以前に、ダンスそっちのけで食べてるご
エイデンが
「そんなことはないはずですわ! 大きな
「ちなみにその花瓶の色は、壁と同じ?」
「いいえ、
「壁と同じ色のドレスの意味は?」
「あ……」
オリバーはそのやり取りを呆れたように見ていた。
「
そう言って大きく溜息をつくと、ジアンナと部屋を後にした。
「父上の言う通り、今日はもう休もう」
エイデンとリリアーナもそれに続いて自室へと
「そもそも何で私なんですの?」
夜着に着替え
「目を合わせないどころか視界にも入れないように気を付けていたはずですのに。やはり花瓶の横にいたのがいけなかったのかしら? いや、でもあの王子。『コレでいい』と言ってましたもの。それって、裏を返せば私でなくてもよいということでは?」
婚約
「国王様相手に、それをどうやってお伝えすればいいんですの?」
考えても浮かばない答えに、頭を
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