第4章 王太子妃教育始めました
その①
この
もちろんリリアーナのご学友……なんてことはなく、理由は一つ。
「ウィリアム殿下は、こんな
それに関しては言葉や態度に出すことはしないが、激しく脳内で同意するリリアーナ。
「身分から言いましても、イザベラ様の方が
どうやらドリルのような縦ロールをしたド派手な令嬢は、イザベラ様と
取り巻きの方々が持ち上げてくれるものだから、ご
ウィリアム殿下の婚約者に決まってから、こういった
暴力を
それでもこう、目の前で延々とツマラナイ話を聞かされ続けるのは苦痛だ。
大人しく聞いている振りをしながらも、
(はあ、やっぱり
と、リリアーナは脳内で大きな
そもそもこの婚約は自分の本意ではないし、なぜウィリアム殿下に気に入られたのかも
いえ、彼にとって何か都合がいいから婚約しただけで、気に入られたわけではないはず。
であれば、まだ婚約解消のチャンスはありますわ! とリリアーナは
物語のヒロインであれば、いじめられた時には
現実の王子様はとっくに学園を卒業されていて、当てにはならないのだ。
他に当てになりそうなのは、現在同じ学園に
残念ながら一つ上の学年の
けれども一度だけ、学園内で令嬢達に囲まれているところに、ホセ殿下が現れたことがある。
令嬢達は背後にいるホセ殿下に気付くことはなかったが、リリアーナとは
なのに、彼は無表情で何事もなかったかのように、スタスタとどこかへ行ってしまったのだ。
思えば婚約成立後の両家顔合わせでも、ホセ殿下は
国王様も
まあ、ウィリアム殿下はいつものことである。
正直王子様達に全く興味のなかったリリアーナには、『氷の王子様』と呼ばれるウィリアム殿下、『
ウィリアム殿下とは、婚約
ホセ殿下だけは、言葉を
彼は『天使様』と呼ばれるだけあって、中性的なとても
しかし、どうやらただの大人しい方ではないようだ。
まあ、初めから彼に助けてもらおうなどとは全く期待していなかったリリアーナは、自分の身は自分で守るとばかりにイザベラに話しかけた。
「ちょっとよろしいですか?」
「何かしら?」
「私には三つ年上の兄がおりまして」
「イアン様ね? 存じておりますわよ」
「はい、先日私の婚約が決まりましてから、父がそろそろイアン兄様にもどなたか良いお相手を考えなければ……と」
「そ、そうですの。それでイアン様のお相手の方は決まりましたの?」
「いいえ。この王国には
リリアーナの言葉一つで候補から消えるのだと暗に
数少ない優良物件の候補者から外されてはたまらないであろう。
ここでリリアーナから敵
「そうでしたの。リリアーナ様はとてもお兄様思いの
「これから王宮に向かわれますの?」
「王太子
などと、
……実の兄を
エイデンもまだ十四
持つべきものは天使
兄の
つい先日より始まった『王太子妃教育』を受けるためである。
王太子妃教育は王宮で行われるので、学園の授業が終わった後に毎日せっせと王宮へ通っているのだ。
婚約解消を望んでいるとはいえ、今やるべきことはしっかりとやらないと気が済まないリリアーナは、存外真面目な性格なのだ。
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