第6話 初夏の誘い

彼女は空を見上げながらいった。


ナツ「もうすぐ夏休みだね!

   私まだ引っ越して来たばかりだから

   この辺りに何があるとか全然分から

   ないけど、

   夏ってワクワクするよね♪」



「……」



ナツ「ねねっ!

   吉沢君は夏休み何するの??」


そう言いながら僕の顔を覗いてきた。


「…なんも」


ナツ「えーっ、せっかくの夏休みなのに?」

  「暑いのが苦手とか??」


「別に…」


夏休みなんて毎年部屋に閉じこもって一日中インターネットをしてるか、寝てるだけだ。

せっかくかどうかなんて本人次第だろ。



ナツ「海も行かないの??」

   でもさ、さっき美術の時間、海の絵

   書いてたでしょ?

   てっきり吉沢君も海が好きなのかと

   思ってた!」

   


「……。」





ナツ「わかった!

   一緒に行く人がいないとか(笑)??

   

   冗談じょうだん(笑)

   私は一人で海に行くのも好きだけど

   誰かと行くのも楽しいよね!」


裏道と大通りに繋がる分岐路が見えてきた。



「家こっちだから…」



裏道に入る手前で別れよう。

僕は好奇心旺盛な彼女に静かな裏道を知られたくなかった。




ナツ「……」





すると彼女が突然黙った。


……なんだ。





しばらくして彼女は何かを思いついたかのように、



ナツ「それならさ……

      

   夏休み一緒に海行こうよ(ニコニコ)




「……は」




ナツ「決まりね!

   じゃあ、また明日ね!」



彼女はそう言い去り、大通りへと歩いて行った……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

気まぐれな空 ぐるくん @rentrakichi-1226

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ