第3話 揺れる日常

一瞬だった。


視線が重なった瞬間、心の中を見透かされたような気がした。


すぐさま僕は顔を逸らした。


彼女は笑みを浮かべて前を向き、

僕は窓の外へと目を移した。


休憩時間になれば彼女の周りにはクラス中の男女が群がり記者のように質問攻めにしていた。


そんな中、彼女は変わりなく笑顔で話す。



くだらない。

僕には惨めに思えた。


僕は騒がしい教室を抜け出し屋上へと上がた。





休憩が終わって、最終科目の美術が始まる。


今回から 〜記憶に残る場所〜

をテーマにした絵画作成が始まる。


絵を描くのは苦手ではないが記憶に残る場所なんて無かった。


ただ唯一残っているとすれば、まだ家庭環境が健全だった幼少期、親に何度か連れていってもらった海岸がある。


海水浴や、釣りをしたことが記憶に残ってる。



あの海岸を描こう。



僕が美術室に入ると、すでに窓側の席は埋まっていた。


来るのが遅かったか。

仕方なく廊下側の席に座った。


僕のすぐ後に一人走りながら教室に入ってきた。




そして、隣に座った。

           

           彼女(暁)だ…。

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