第5話
遠い遠い昔。
どこかの村で、犬神筋があったように。クダやオサキという狐という憑きものがいたように。
今だって、その類の血筋は絶えたわけじゃない。
確かに、現代じゃ、恨み節が物を言わせての呪殺なんて流行らないし、在れば大事になってしまう。
風土も事情も変わったし、いろんな意味で、彼らの存在は必要性が問われることが少なくなったんじゃないかって、これは俺の推測だけど。
まぁ、確実に彼らにとって、最近の世の中は棲みにくい世界になっているようだ。
現にそれは、俺の中にいる存在も声を大にしていっていたりするわけなんだけど。
「我らの存命に共生を要するとは哀しきかな!まこと、世知がない現世よ」
てね。
まぁ、一つだけ確かなのは、伝承だとか御伽噺みたいな民間信仰になりつつあるだけで、今この瞬間にも、彼らはちゃんと息してるんだってこと。
少なくとも、俺の中では。
そんな彼らの存在を、うまくいい表せないから。
俺たちの一族は、一言に、彼らをこう呼んでる。
憑神様、と。
そんな憑神様の夢を、俺はよく見る。
いわゆる、白昼夢みたいなやつだ。
っていっても、正確にはこれ、夢なわけじゃないんだけど。
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