第7話
中性的な貌の冒険者が『ゴブリンの巣』内を蹂躙し、地上に出てきたのは、翌日の昼頃だった。
全身の服装は、ゴブリンの血潮で赤黒く染まっていた。
「全部喰い終えた。だが、喰い足りない」
中性的な貌の冒険者はほぞっと言いながら、左手に持っていたゴブリンの心臓らしきものに齧りつく。
咀嚼物を飲み込むと、中性的な貌の冒険者は地面をのた打ち回るかのように転げ
まわる
そして口から吐瀉物――――新鮮な魚類や牛肉をぐえぐぇと呻きながら吐き出し
続けた
その光景を離れた場所で監視ている『冒険者ギルド処刑人』達の存在があった
それと共に樽を乗せた荷馬車が停車していた
「書類上のミスでこんな事になるとはな・・」
『冒険者ギルド処刑人』の一人が囁くように言う
「鍛冶屋集団『ドワーフ工作連隊』に発注した冒険者の『クラウン』に所属している
事務方と食糧調達班に聞いてみろ
答えるとは限らないがな」
質問を受けた人影が応える
「確かビル・カーソンっていう新入りだったか?
そいつのおかげでその『クラウン』も、あの肉と魚の影響により巷では有名
だが・・・『ギルドマスター』も何考えているのか、アレについては
ここいら一帯の冒険者と住民に箝口令を指示しているしな」
先に呟いた1人が呻く様に告げる
「事実を公表すれば、暴動が起こる事はわかるだろ?
だが、主な有力者に事の真相を説明を行い、『もはや
後戻りは出来ぬ』と告げている」
質問を受けた人影が応えた
「後戻りというか、アレの収益が馬鹿にならないだけじゃないのか?
欲に溺れているだけだろ」
先に呟いた1人がそう告げる
「それを『ギルドマスター』の前で言ってみろ
事が上手くいけばいいな」
質問を受けた人影が応えた
「・・・忌々しい回収に向かうか」
先に呟いた1人が露骨に話題を反らす様に、気配を消した
質問を受けた人影は肩を竦め、同じように気配を消した
地面をのた打ち回るかのように転げ回っていた中性的な貌の冒険者は、
「ぜぇぜぇ」と息を吐きながらゆっくりと歩き始めた
「ゴブリン・・・」
鼻を動かすと、何か臭いを嗅ぎ取ったのか、森の奥へと歩いていく
ゴブリンを喰らう死なずの冒険者 大介丸 @Bernard
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