第6話
『ゴブリンの巣』内では、中性的な貌の冒険者とゴブリン達の血みどろの闘いが
繰り広げられる。
一匹のゴブリンの喉元に喰らいつきその肉を引きちぎりながら、錆びたナイフを振りかざし飛び掛かって来たゴブリンの頭部を蹴りで吹き飛ばす。
頭蓋骨は粉々に砕け散った。
銀髪の髪をぐしゃぐしゃとかき乱し、低い唸り声と共に疾風となってゴブリン
達を蹂躙する。
当初ゴブリン達は突然の襲撃で奇声や金切り声を飛び返すだけで混乱の極み
だった。
取れた反撃など実施できるはずもなくグダグダで統一性に欠け、個々で中性的な貌の冒険者に挑んでは、解体用ナイフでバラバラに解体され内臓や肉を喰らわれた。
しかし、巣の奥へと逃げるゴブリンを追撃していた中性的な貌の冒険者が
予期せぬ 罠地帯にはまり込んでから状況が一変した。
その罠は、床に穴を掘り、そこに人糞などを塗付した釘や竹槍や杭を設置して
殺傷する効果的な種類だ。
中性的な貌の冒険者は、現にその罠にはまり床を踏み抜き、人糞などを塗付した
釘や竹槍に突き刺さった。
これが普通の冒険者なら、激痛のあまりにのた打ち回り呪詛を叫ぶ。
―――だが、あいにく中性的な貌の冒険者は普通の冒険者ではない
現にその表情は、凄絶な表情を浮かべていた。
そして、闇より深い闇の奥底から聞こえる様な、凄まじいまでの魂の雄叫びを
発した。
床穴から足を引き抜き、両眼に敵讐の炎を燃え上がらせ歯を剝いた。
視線の先には、一瞬だけ驚き戸惑っていたゴブリン達の姿があったが、立ち往生している中性的な冒険者は格好の標的なため――荒れ狂ったゴブリン達は一気に
押し寄せた
中性的な貌の冒険者の身体に、荒れ狂ったゴブリン達は次々と錆びた鉈や短刀で突き刺しては切裂く。
棍棒を持っているゴブリンは、ズタボロになるまで叩きつける。
鬱憤を晴らすための苛烈な光景は、まるで悪魔の踊りにも似ていた
打ちつけるような音と突き刺さる音に混じって広がる血潮。
付近にその臭いが漂うが、ゴブリン達はそれらを振り払う報復を続ける。
――――奇声をあげながら、今までの鬱憤を晴らしていたゴブリン達の悪相から徐々に血の気が総退却し、汗の球が追い打ちをかけはじめた。
悪相の表情には焦燥と驚愕に彩られる。
ゴブリン達が全身が分解するのではないかと思われるほど激しさで痙攣をはじ
める。
その原因は報復対象者だ。
全身を錆びた鉈や短刀で突き刺さされ、原型を留められないほど肉塊とされた
中性的な貌の冒険者は・・・。
まるで時間を巻き戻すかのように受けた傷口を修復する
棍棒でぐちゃぐちゃに潰しても、これまた数秒で全身を時間を捲き戻す様に修復した。
「順番に喰ってやるから待ってろ」
中性的な貌の冒険者は、怨念を孕んだ様な声で告げると、一匹のゴブリンの心臓に解体用ナイフを一突した。
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