第3話
中性的な貌の冒険者は、その紙切れ―――もとい書類ををひったくる様に掴むと、貪る様に書類に眼を通しはじめた
「 ゴブリン ゴブリン ゴブリン
ゴブリン ゴブリン ゴブリン
ゴブリン ゴブリン ゴブリン
ゴブリン ゴブリン ゴブリン ・・・」
中性的な貌の冒険者は、サディスティックな笑みを浮かべながら繰り返し
そう呟く
異様なほど静まり返っている『冒険者ギルド』のロビー内で、その言葉が木霊した。
「 迷宮都市『ウィンルム』の近辺で、最近になり中規模程度の『ゴブリンの巣』が複数確認されたらしい。
本来なら手の空いている冒険者に『冒険者ギルド』から緊急討伐依頼を張り出す
所なのだが・・・。
連絡を受けて聞いた限りでは、『迷宮』内部でもゴブリンが大量発生しており、
そこまで手が回らんらしい。
『ウィンルム』の冒険者ギルドが緊急対策会議が行い、出した答えが
―――『トラキニア』を拠点としている噂の『ゴブリン狂い』の派遣要請という
藁にも縋る様な悲痛な派遣要請だ」
『ギルドマスター』が、狂った様に書類を読み続けている中性的な貌の冒険者に
告げる。
「 ゴブリン ゴブリン ゴブリン
ゴブリン ゴブリン ゴブリン
ゴブリン ゴブリン ゴブリン
ゴブリン ゴブリン ゴブリン」
中性的な貌の冒険者は、壊れた魔道具の様に繰り返し同じ言葉を呟きながら、幽鬼の様な足取りで外に出で行く。
その眼は、獲物を前にした飢えた獣の様に、狂喜と歓喜が入り混じった輝きに溢れていた
「それと近辺には『冒険者ギルド』から
賞金付きの盗賊や山賊の根城も――――説明の最中に出ていくとはどういう了見だ?」
『ギルドマスター』は、出ていった中性的な貌の冒険者を見送りながら不機嫌そうに呟くと、他の仕事があるためか執務室に戻っていった
―――しばらくして『冒険者ギルド』内は、今までの出来事を忘れる様に元の賑わいを戻した。
「あれが噂の?」
食事が出来るテーブル席に座っているた、他地域から『トラキニア』に流れ
てきた冒険者達の中の1人が尋ねた。
「だろうな。『んな奴いるのか』と本物を見るまで信じられなかったが・・・」
同じテーブル席にいる冒険者が驚いた表情を浮かべて応えた
そのテーブル席にいる冒険者の前のテーブル上には、木の椀と皿に
乗せられている 厚さ一センチに近いステーキ肉が置かれていた。
1杯の木の椀の中は薄い塩スープだ
具材は、人参、たまねぎ、肉、かぼちゃが入っている。
「・・・それもそうだが、ここの飯は噂以上に美味いな!」
話かけた冒険者が中性的な貌の冒険者の話題を終わらせる様に、視線を
テーブルに向けた
「確かにな! それに噂によればここの飯を食べたら身体の調子が翌日から、
調子が良くなるらしいからなぁ!!」
話かけられた冒険者は、上機嫌な様子で、ステーキ肉を喰らいつきながら
答えた
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